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戦国異伝供書
第三話 万石取りその八
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「我等その場でお主を切るからな」
「この言葉嘘と思うでないぞ」
 織田家一の武勇の持ち主柴田もその目に殺意を宿らせている。
「我等お主を全く信用しておらんからのう」
「殿に何かしようものなら」
 中川重政も言ってきた。
「背中からでも容赦なく切るぞ」
「毒も刺客も無駄ぞ」
 池田勝正はこのことを忠告した。
「殿の周りには我等がいるからな」
「そのことは言っておく、我等はお主を我等と同じとは思っておらぬ」
 はっきりとだ、堀は松永にこのことを告げた。
「少しでも何かあれば命はないぞ」
「やれやれ、それがしは針の蓆にいますな」
 織田家の諸将のそうした殺意を露わにしている言葉を聞いてもだった、松永は平然としていた。そうして笑って言うのだった。
「それがしはもうそうした世界からは足を洗いたいのですが」
「その言葉誰が信じるとお思いか」
 秀長は兄と違っていた、松永を全く信じていないし話を聞くつもりもなかった。
「果たして」
「それはおいおい」
「信頼を得ていくと」
「それが出来れば」
「そう言って貴殿は何をしてこられたか」
 いつもの気さくさもなくだ、秀長も前田達と同じく今にも刀を抜かんといった形相で松永に言うのだった。
「一体」
「今はそう言われていても」
「変わりませぬぞ、それがしは」
「その背中には注意されよ」 
 森長可、森可成の長子である彼も松永に言った。
「皆貴殿が少しでも妙だと見れば」
「その時はですな」
「謀反とみなして切りまする」
「では貴殿も」
「拙者は正面からでござる」
 長可は背中からとは言わなかった。
「そう致します」
「ははは、どちらにしてもですな」
「精々お気をつけを」
「まあ話はそれ位にして」
 羽柴の調子は変わらない、それで一同と松永の間に入って言うのだった。
「これから殿のお許しを得てです」
「どうしろというのじゃ」
「宴でも如何でしょうか」 
 この場で第一の座にある林に提案した。
「都の酒を飲みながら」
「そのうえでか」
「如何でしょうか」
「そうじゃな」 
 少し考えてからだ、林は羽柴の言葉の調子と明るい表情にこれまで松永に向けていた敵意をほぐされてこう述べた。
「まあ剣呑な話ばかりしていてもな」
「気持ちが殺伐となるばかりですし」
「だからじゃな」
「はい、ここはです」
 今はというのだ。
「酒を」
「わかった、ではこれから殿にお話をして」
「お許しを得て」
「酒にするか」
「そうしましょうぞ」
「これだけの者が揃って酒を飲むとな」
 ちょっとした騒ぎにもなりかねない、だから前以て信長にそうすると話しておいて何が起こったかということにならない為への配慮である。
「だからな」
「はい、殿にもお話して」
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