第二章
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「倒すからな、今から」
「絶対にそうしてね」
「しかしな、見たくもないな」
巨大なムカデ、目の前で自分達に向かって蠢いてくるそのおぞましい姿を見てライヤはあらためて思ってその気持ちを言葉にも出した。
「気持ち悪いな」
「じゃあいい倒し方があるわよ」
「どんな倒し方だよ」
「目を閉じてめくらめっぽうに雷放って落雷落としまくればいいのよ」
「そうすればいいのか」
「そう、何なら私が誘導するし」
照準を担当するというのだ。
「そうするし」
「じゃあそうしてくれるか」
「ええ、じゃあそうして倒しましょう」
こうしてだった、ライヤは目を閉じて大ムカデを見ない様にした。そうして当たるを幸いに落雷を落として大ムカデを絨毯爆撃の要領で攻撃しつつ。
妹の先導を受けて掌からも雷を放った、それでだった。
大ムカデを倒した、妹が目を開けていいと言って目を開くとそこには黒焦げになって動かなくなった巨体と夥しい落雷の後があった。
幸い山火事にはなっていなかった、それでライヤは言った。
「山火事にもなりそうにないしな」
「ええ、無事にお仕事達成出来たわね」
「ああ、しかしな」
「四〇〇万でもなのね」
「もうな」
それこそと言うのだった。
「こうした仕事は断りたいな」
「何言ってるのよ、若しまたね」
妹は兄に顔を向けて強い声で言った。
「ここまで高額のお仕事があったら」
「ムカデでもか」
「絶対に受けるから」
「御前酷い奴だな」
「お金になるのよ」
それならばとだ、妹は兄に現実のことから話した。
「だったら受けるに決まってるじゃない」
「やれやれだな」
「やれやれじゃないわよ、これで四〇〇万入ったから」
「俺達の学費も当分の生活費もか」
「確保出来たわ、これからも頑張って稼いで」
探偵やこうしたモンスター退治でというのだ。
「生きていくわよ」
「そうするか、まあ普通にアルバイトするしな」
「報酬いいしいいでしょ」
「そうだな、じゃあまたか」
「別のお仕事が入ればね」
「そっちで頑張るか」
ライヤは何はともあれ今は仕事が終わってよしとした、しかし出来ればもう二度とムカデ関係の仕事はしたくないと思った。
そしてその次の日だ、また携帯を受けて仕事の話をした妹にこう問うた。
「ムカデじゃないよな」
「今度は迷い猫探しよ」
「探偵の方か」
「ええ、受けるって返しておいたから」
「わかった、じゃあな」
猫と聞いて安心してだった、ライヤはその仕事の話を暗しく聞くことにした。こちらの仕事は報酬はムカデ退治より遥かに安かったがそちらよりもずっと気持ちよくそして彼にとっては簡単に終わらせることが出来た。
倒したくなくても倒す方法 完
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