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戦国異伝供書
第三話 万石取りその四

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「では進出は楽じゃな」
「そうじゃな」
「いや、そう言うがな」
 坂井が二人に異論を述べた。
「近江の南を治める六角家は強いぞ」
「左様、あの家は伊賀も治め二万の兵を持っておる」
 森可成、織田家においてその頼もしさでまとめ役の一人となっている。
「しかも居城観音寺城は堅城じゃしな」
「迂闊には攻められぬ」
「そう言われるか」
「そうじゃ」
 森は滝川と池田に述べた。
「そうおいそれとはな」
「しかしですぞ」
 原田は森にあえて問うた。
「殿が進まれるとなると」
「やはりじゃな」
「今は近江しかないのでは」
 そして伊賀だというのだ。
「上洛を思われるなら」
「うむ、それに近江を押さえるとな」
「都まであと少しです」
 まさにそうなるというのだ。
「ですから」
「近江にじゃな」
「進出するのは間違いない流れかと」
「東には武田家がいても」
 武井はこの家の名前を出した。
「今は特に何もなく」
「既に美濃の東の守りは固めた」
 堀がこのことを言った。
「とりあえずは守っていればいい」
「左様、今はな」
 その通りだとだ、武井は堀に答えた。
「東はな」
「徳川殿もおられるし」
「東はよい」
「今は」
「ならば余計に」
 東の脅威である武田家とは今は関係が悪くなく国境となっている美濃の東の守りも固めていて徳川家にも頑張ってもらっているならというのだ。
「それならばな」
「やはり上洛であり」
「目指すとなると」
「近江の南しかない」
 まさにとだ、二人もこの結論に至った。
 だがその近江の南、そこが問題で山内一豊もこう言った。
「まずここは」
「近江の南」
「そこに兵を向けるのう」
 柴田と佐久間が山内に応えた。
「そうなるのう」
「どう考えても」
「左様ですな」
 また言った山内だった。
「これからは」
「では近江攻めとなるか」
 蜂屋が言ってきた。
「何といっても」
「そうじゃな、しかしな」
 稲葉が言うには。
「二万の六角の軍勢はおいそれには勝てぬな」
「浅井殿もおられるが」
 この家のことは不破は言った。
「やはり強いな」
「しかし勝たねばじゃ」
 服部も言ってきた。
「どうにもならぬ」
「左様、ではどうして攻めていくか」
 氏家も言ってきた。
「これからそれをな」
「殿の御前で話すぞ」
 平手が皆に言った。
「よいな」
「そうしていきましょうぞ」
 皆答えた、そしてだった。
 その話をしてだ、今度はだった。
 織田家は上洛について考える様になっていてその具体的なことも話していった。
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