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夢幻水滸伝
第五十八話 伏龍と昇龍その八
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「おいらだって恥ずかしいからな」
「それじゃあね」
「周りだって妬けるとか言うしな」
「安心しろ、それはない」
 日毬は豆腐を食べつつ述べた、食べる時も背筋はぴんとしていて箸の使い方も丁寧だ。見れば箸は先しか濡れていない。
「私はその様なことは気にしないからな」
「ああ、御前はそうだよな」
「そうだ、私は恋路の経験はないが」
「許嫁いるとかじゃないよな」
「いない、しかし将来お見合いをするかも知れない」
「御前の親父さんとお袋さんみたいにか」
「その時は夫になる方に終生操を捧げる」
 日毬は幸田に刀の刃の様に鋭く強い声で答えた。
「そうする」
「結婚するまでもか」
「そうだ、操を守りな」
 そうしてというのだ。
「結婚してからもな」
「まさに武士だな」
「当然だ、我が家は千年の歴史の間常に武士だったのだからな」
「江戸時代は旗本の家でな」
「今もだ、武門の家だからな」
 こう考えているからだというのだ。
「私も然りだ」
「そういうことなんだな」
「その通りだ」
「私だってそうですよ」 
 麻友は今度は日毬に言った。
「ずっと吉君一筋ですから」
「そうだな、貴殿もな」
「はい、他の誰とも付き合うつもりはない」
「そうするといい、貞操は大事だ」
 日毬は今はサングラスをしている、そのサングラスを着けている目を麻友に向けて彼女に言葉を返した。
「それを守りな」
「そうしてですね」
「生きていくことだ、女性はな」
「そうですよね、やっぱり」
「うむ、それが正しい姿だ」
「自由恋愛は駄目ですか」
 千歳も言ってきた、小人なので椅子の上に立ってそうして食べている。見れば箸も椀も子供用のものである。
「それは」
「貴殿はそうした考えか」
「いえ、私自身は違うんですが」
 それでもと答える千歳だった。
「そうした人もいますから」
「私はそうした考えではない」
 日毬は千歳にも刃の様な声で答えた。
「それだけだ」
「そうですか」
「そうだ、それだけのことだ」
 こう言うのだった。
「私はな」
「そうなんですね、まあ私自身は」 
 千歳は糸蒟蒻を食べつつ述べた。
「楽しく付き合える彼氏と二人で」
「過ごしたいか」
「はい、結婚しても」
 そうしてからもというのだ。
「お酒飲んだりカラオケに行ったりして」
「そういえば千歳ちゃんカラオケ好きよね」
 麻友は千歳に起きた時の世界のことを話した。
「そうよね」
「はい、お金があったら」
 その時はとだ、千歳は麻友にも答えた。
「行きます、それで歌って」
「飲んでね」
「カラオケのお酒も好きでして」
 それでというのだ。
「よく飲みます」
「そうよね」
「はい、もう一曲歌うごとに一杯」
「そうして
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