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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第一部 原作以前
序章 シンドゥラ編
第三話 無双勇者
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うから、彼の場合には今回の高熱によって脳にダメージを負い、痛覚が麻痺してしまう事に本来はなっていたのだろう。若干の障害は残ったものの、バハードゥルは痛覚を失うことなく、一週間後にはようやく歩けるようになった。

そして今、俺の前には跪くバハードゥル親子の姿がある。

しかしまあデカい図体だな。バハードゥルを初めて見て思ったのはまずそれだった。前世の単位で言うなら身長は2メートルを越し、体重も100キロは優に超えているだろう。プロレスラーの、それも大巨人とまで言われた往年の名プロレスラーを、さらに分厚い筋肉で覆ったかのような見事な肉体だった。聞いたところによると今、バハードゥルは一五歳なのだそうだ。未だに成長期って事?これが更に成長したら、一体どうなるって言うんや!

「ら、ラジェンドラざま、ご、ごの度はまごどにお世話にな、なりまぢだ」
頭を下げたままのバハードゥルから呂律の怪しいしゃがれ声が聞こえる。

幸いにして痛覚を失う事は無かったものの、やはり彼は無事では済まなかった。言語野に障害が残ったらしく、この様なやたらと濁音が混じるような喋り方しか出来なくなったのだ。いや、それでも原作の知性の欠片も感じられない、獣そのものの有様よりは遥かに上等だとは思うが。

「表を上げよ。…済まぬな、もう少し早くちゃんとした手当が出来ていれば、お前の喋り方もまともなままだったかもしれんのにな」

「いいえ、いいえ、そんな事は…。元々、この子はひどく頭が悪いですし、元よりロクな事は言えませんので」

「…があぢゃん、ざずがにぞれはあんまりにもヒドイ…」

「ええい、おだまりなさい!殿下の御前ですよ!」

「ふぁい…」

さすがのバハードゥルも母親には頭が上がらない様だ。まあ、人間味があっていいけどさ。

「それはともかく殿下、私共はこの度の御恩にどの様に報いればいいのでしょう。ご迷惑で無ければ、息子共々殿下にお仕えさせて頂ければと思いますが、それでもまだまだ足りぬかと…」

「いやいや、俺のもとで出来ることを出来る限り懸命にやってくれ。それで十分さ。…でもそうだな、バハードゥル、俺はお前に一つだけ望むものがある。バハードゥル、お前、自分の名前が何を意味するか、知っているよな?」

「ふぁ、ふぁい、殿下。確か『勇者』っで意味だど…」

「その通りだ。バハードゥル、お前は『勇者』たれ!その名前に恥じぬ存在となれ!俺がお前に望むのはそれだけだ。励めよ!」

「あぢがどうごばいばす…、あぢがどうごばいばす…」

バハードゥルは滂沱の涙を流しながら、何度も頭を下げた。

バハードゥル、期待してるぜ。力を蓄え、技を磨き、仲間を守り、国を守り、全てを守れる男になれ!そして、俺も助けてくれよな!


こうして俺は無双
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