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リリなのinボクらの太陽サーガ
新生のフォックス
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ミッドチルダ中央部、管理局地上本部前。

「―――では、今回の人質救出料は30万GMPで請求書を発行しよう。領収書は金が入ったのを確認してから送ってやる」

私、フェイト・テスタロッサはこの会話を聞いた瞬間、無の表情を浮かべた。だって……私達の給料より報酬金額が多いんだもん……。そりゃ市民の命には代えられないけどさぁ、私達の苦労をもう少し労ってほしいよ……。

「ブラック企業も感服するほどの勤務体制だからな、管理局は。正式に所属するより、こうして外部から付かず離れずの距離でいた方がよっぽど旨味を味わえるのだよ」

ドレビン神父が棒状に丸めた領収書のコピーで、装甲車の傍で簡易イスに座っている私の頬をペチペチ叩く。今ならテレビとかでやってた、札束で頬を叩かれてる人の気持ちが身に染みて理解できる……。

なお、市民の命をベットした商談に当たっていたゲンヤ・ナカジマ三等陸佐は交渉の最中、ほろりと一筋の雫を目からこぼしていた。きっと何か大切なものを失ったような感覚に襲われているのだろう。私達のように純粋に誰かを助けようとする人にとって、金次第でさっき助けた人さえも見殺しにできるドレビン神父のような人は、見えている世界が違い過ぎて到底理解できない部分があるのだ。かと言って彼の協力がもし無かったら、助かった市民のほとんどが命を落としていたと察せるから、自分達の無力感を自ら示している気にもなってしまう。

というかこんな言い方だと、まるで真面目に頑張ってきた私達が愚かなように聞こえる。まぁ、私個人だけじゃなくて管理局の財布事情とかも含めて考えると、あながち間違ってると断言できないのが、とてつもなく悔しい……。

「毎度どうも、今後ともごひいきに。さて……これでショッピングモールへ出張した分の金は回収できた。後は……」

装甲車の傍に置いてあるフレスベルグが封印された棺桶に、私とゲンヤ、ドレビン神父は視線を送った。あのショッピングモールでエリオと契約を交わした後、約束通り見逃された私はドレビン神父の装甲車にこの棺桶を積み込み、ここまで運んでもらったのだ。で、暗黒物質の雨が止んでも夜に浄化なんてできないから、こうして私が直々に棺桶を監視している。尤も……右腕をギプス固定し、全身の至る所を包帯で巻いてる重傷者の私に、これ以上の戦闘は無理だと思うけど……。

そもそもなんで外で監視しているかというと、今地上本部には大勢の市民が避難している。時間も時間なので今は本部の近くで料理を作ったり、配給を受け取る列をなしているが、とにかくそんな所に敵の主力の一体を封印した棺桶を持ち込んだら、市民の恐怖を刺激してしまう上に、もし他の敵が奪い返しに来た時に市民が巻き込まれてしまい、まともに戦うことが出来なくなる。だから離れた場所に置いてた方が巻き込む危険が少なく
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