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戦国異伝供書
第一話 語ることその二
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「海に出るか、これからはそうした船も多く造るか」
「実に楽しみなことですな」
 九鬼嘉隆は実際に水軍を動かしてきた者として実に嬉しそうである。
「鉄甲船の様な船を多く造っていきますか」
「それも信じられぬわ」
 前田利家は九鬼に応えた。
「尾張にいた頃と比べると」
「全くじゃ、気付けば上様は天下人になられておってな」
 佐々成政もこれまでのことを振り返っている。
「一つにした天下をどうするかという話になっておるわ」
「蝦夷にも行くらしいしのう」
 この話は河尻秀隆が言った。
「そこも治めるとのことじゃ」
「いや、天下を一つにしても忙しいな」
「全くじゃ」
 前田と佐々は河尻のその言葉に応えて言った。
「何かとな」
「やることが多いぞ」
「しかし。ここまでのう」
 村井貞勝は瞑目する様に述べた。
「思い起こせば色々あったわ」
「ははは、全くですな」
 河尻は村井のその言葉に応えて言った。
「思い起こすと確かに」
「戦あり政あり騒動ありでな」
「何かとありました」
「それはそれがしもですぞ」
 徳川家康がここで言ってきた、見れば他の大名家の者達もいる。それぞれの色の着物で分かれているが家康は黄色で織田家の者達は青だ。 
「尾張に人質として入り」
「いや、あの時はです」
 柴田がその家康に応えた。
「まさか徳川殿がです」
「今の様にですか」
「百六十万石の大身になられるとは」 
 思わなかったというのだ。
「失礼ながら」
「ははは、そのことにはそれがしが最もです」
「驚いておられますか」
「そうなのです」
 実際にというのだ。
「そしてです」
「今もですか」
「信じられませぬ、今は竹千代を次の主にすべくです」
 信康、信長により一時蟄居させられていたが許された彼をというのだ。
「育てています、しかしここで」
「お子がですか」
「増えまして」
 家康はこのことは少し苦笑いになって話した。
「いやあ、子沢山になりそうです」
「それがしもやっとです」
 ここで言ったのは羽柴だった。
「子が出来ました」
「それもお二人もですな」
「先に捨丸が生まれ今拾が生まれました」
 その彼等がというのだ。
「そしてその二人をねねと共に育てるつもりです」
「それはよいことですな」
 家康もそのことに喜んで言うのだった。
「ではそのお子を」
「将来の羽柴家の主にしていきます」
「捨丸殿をですな」
「そう考えております、そして拾も」
 次子である彼もというのだ。
「育てていきます」
「そうですな、子はかすがいです」
「だからこそですな」
「羽柴殿も育てていかれるべきです」
「そうしていきまする」
「しかしまことにこれまで色々なことがあった」
「全く以て」
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