母からの贈り物
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「ジェラーーーーールゥゥゥゥゥゥゥ!!」
響き渡る女性の絶望の叫び。幼い頃に捉えられて自由を奪われてきた。そして二人は運命のイタズラにより引き裂かれ、離れ離れになった。
それでもようやくこうして共に道を歩めるようになったのに、それを目の前で奪われてしまったのだ。
「邪魔をしないでほしかったな。素直に見送っておけば、エルザと一緒にあの世に送ってやったのに」
人の死を見ても感情が何も動かないティオス。いつもの彼女であれば彼に怒りを向けていたであろう。しかし、今回は失った人物があまりにも大きすぎた。
「私が・・・ついていながら・・・」
地面に手を付き顔を伏せる。これ以上の戦闘を続けることなど、不可能なのは目に見えていた。
「こうなったら・・・」
娘の姿を見てアイリーンはあることを決める。すると、フィオーレ全土が光り出した。
「これは・・・」
「あの時と同じ・・・」
アイリーンが発動したユニバースワン。今度はそれを解除しようと彼女は判断した。
「今みんながいる場所は本来なら別々の地だった。元の姿に戻せば、この状況も変えられるかもしれない」
エルザとの戦いで満身創痍の彼女に再びユニバースワンを行う力は残されていない。ならばと下した判断であったが、隣に立つオーガストの表情は険しい。
「無駄だろ、アイリーン」
「なんですって?」
そしてこの判断にティオスもいただけない顔をしていた。
「ここにいるものは全員妖精の尻尾を目指してやって来た。つまりユニバースワンが解けても・・・」
徐々に落ち着いてくる光。そこに広がるのは、マグノリアに近い荒れ地だった。
「大して戦局に変わりはない」
その言葉通りだった。ティオスを引き離せるかもしれないと思っていたが、それは全くの無意味。ティオスを引き離すことは愚か、エルザたちを逃がしてやることもできなかった。
「ならばもう一度――――」
「よせ、アイリーン」
自らの体を犠牲にしてでもユニバースワンを使いエルザたちを助けようとした。だが、オーガストはそれを止める。
「今、流れは奴にある。ここで不確定要素の多いユニバースワンはリスクが大きすぎる」
指定した相手を指定した場所におくことができる魔法。しかし、その副作用として対象者以外はランダムに配置されてしまう。それではあまりにも危険すぎる。
「一人になってしまっては、こやつは倒せぬ」
バラバラになってはティオスを抑えることなど不可能。逆を言えば、ある程度戦力がいる今はまだ何とかできる可能性があるかもしれない。
「それに、ユニバースワンは決して無駄ではなかった」
「え?」
キョトンとしているアイリーン。彼女たちに対峙し
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