第三章
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「飲みやすくてね」
「うん、いいよね」
「そうしたことでもいい国ね」
「そうだね、そして今度はね」
「ええ、徳島ね」
「どんなところかな」
シュターゼンは楽しみな顔で妻に述べた。
「楽しみだね」
「阿踊りもね」
「ネットで見たけれど」
「面白い踊りだったのね」
「うん、あの踊りを見てうどんというパスタもね」
「日本のパスタね」
麺というが欧州の呼び方が出ている。
「あれも食べましょう」
「そうしようね」
夫婦でそうしたことを話してだ、そしてだった。
二人は今度は徳島に入った、そこでうどんを食べてそうしてから阿波踊りを見てそうしたことも楽しんだ。
それで満足してだ、ふとだった。
シュターゼンは徳島の街の中の土産屋に入った、そこで何とだった。
鍵十字を見付けてだ、彼は血相を変えて妻に言った。
「おい、あれを見ろ」
「えっ、あれは」
イゾルデは夫が指差した先を見てだ、彼女も血相を変えて叫んだ。
「ハーケンクロイツ!?」
「何でこんなところにあるんだ!?」
「何か大事そうに描いてるわね」
「ああ、タオルにな」
「ハーケンクロイツのタオルなんて」
「日本人はこんなものを使っていうるのか!?」
「嘘よね」
「日本人はナチスを賛美しているのか!?」
真剣にこう考えた、そしてだった。
そのうえでだ、咄嗟に店長に叫ぼうとしたがここで通りがかりの日本人が店に入って来て二人に言って来た。
「どうしました?」
「あれっ、貴方ドイツ語喋れるのですか」
「はい」
そうだとだ、その日本人は彼に答えた。
「多少ですが」
「そうですか」
「それでどうされましたか?」
日本人は二人に聞き返してきた。
「お店の中に何かありましたか?」
「あれを見て下さい」
化けものを見た様な顔でだ、シュターゼンは店の壁にかけてあるそのタオルを指差しながら日本人に言った。
「あのタオルを」
「卍のタオルですね」
「ハーケンクロイツですよ、ハーケンクロイツ」
こう彼に言うのだった。
「あれは」
「ああ、ナチスのですね」
「日本ではあんなものを売っているのですか?」
「ナチスのマークなんてものをですか」
イゾルデも日本人に言ってきた、やはり夫と同じ顔になっている。
「お土産で売っているんですか」
「あれはハーケンクロイツではないです」
はっきりとだ、彼はこう答えたのだった。
「卍です」
「卍!?」
「はい、卍です」
そうしたものだというのだ。
「あれは卍でして」
「ハーケンクロイツですよね」
必死の顔のままでだ、シュターゼンは日本人に問い返した。
「そうですよね」
「いえ、ですから違います」
「嘘を言わないでくれますか?」
彼は痺れを切らし
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