暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
閑話 それぞれ1
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

「少しだけ」
「変わったな、キルヒアイス」
「そうでしょうか」
「今までは俺がどのような顔をしてようが、気にもしなかっただろ」

 子供っぽさをだして、唇を尖らせる。
 どのような顔をしても、その美しい顔立ちが崩れることはなかったが。
 変わったのだろうかと、キルヒアイスは自問自答する。
 確かにラインハルトが言ったように、今まではラインハルトの表情を気にすることはなかった。
 いつも彼の主君は、自信にあふれ、滅多なことで表情を変えることはなかった。
 それがあるのはキルヒアイスと、彼の姉であるアンネローゼの前だけだろう。

 だが、それも一瞬のこと。
 すぐにラインハルトは表情を戻し、何かを考えるように思考にふけることが多かった。
 それは彼の進む道とその困難さを理解しているからこそ、何も言えなかった。
 いや、完璧であることが当然と思いたかったのかもしれない。
 だが。
 あの戦いで、ラインハルトは様々な顔をキルヒアイスに見せた。
 その揺れ動く表情を見て、ラインハルトがただ完璧なだけではないと理解した。
 そして、その姿を多く見たいと思うようになった。
「そうかもしれませんが、私は常にあなたの傍におります」

「当然のことだ」
 いつも通りのやり取りだが、どこか照れたような口調である気もする。
 だが、すぐに表情を引き締めると、ラインハルトは背後を見た。
 すでに高速となった艦からは、イゼルローンが豆粒のように小さくなっている。
「それに、奴とはすぐに会えるさ。ここが墓標である限り、必ずな」
「次は負けません」

「それも、当然のことだな」
 ラインハルトが挑戦的に口にして、二人は小さく笑いあった。



[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ