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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン91 遊野清明と河風現
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「先攻は……ああ、私じゃないか。なら、お先にどうぞ」

 可愛らしく小首を傾げ、デュエルディスクが自動的に決定した順番を確認する夢想……いや、(うつつ)。1撃が重い上に止めづらい彼女を相手にする際先攻は遠慮願いたいが、なってしまったものは仕方がない。もっとも夢想から現へと名を変えた、というよりも真の名を名乗るようになったことで、デッキまで変えてきていてもおかしくはないか。
 それに……初期手札5枚を見て、初動を考える。それに、これならそう悪い手札でもない。とはいえ、いくらそうやって自分を奮い立たせてみても、緊張のあまり喉が渇いているのはどうしようもない。それでも努めてタフに笑い、いつものセリフを吐いた。

「じゃあ、デュエルと洒落込もうか」

 人間というのは本当に単純なものだ。僕がまだ人間の範疇にいるのかどうかはさておき、決まったタイミングで決まった動きをする、あるいはお決まりの言葉を口にする。それをルーチンワークの一環として組み込む、ただそれだけで、どれだけひどい精神状態だろうとも少しはマシな気分になれる。スイッチが入る、と言い換えてもいいだろう。

「「デュエル!」」

「僕のターン。マーメイド・シャークを守備表示で召喚!」

 マーメイド・シャーク 守300

 僕が最初に呼び出したのは、魚の身体から人型の上半身らしきパーツ……疑似餌?が突き出し、さながら上半身が貧弱な人魚のような格好のモンスター。ステータスもレベルもほぼ最低値だが、この子にはこの子にしかできない仕事がある。

「このカードの召喚に成功した時、僕はデッキからレベル3から5の魚族モンスター1体をサーチできる。レベル3のチューナーモンスター、フィッシュボーグ−アーチャーを手札に!」
「チューナー……」

 これでいい。シンクロモンスターを呼び出すには、とにかくチューナーが必要。ぶっつけ本番、付け焼き刃にもほどがある新しい力ではあるけれど、それぐらいしないと到底歯が立つ相手ではない。ユーノの遺した最後の力、ありがたく使わせてもらおう。

「さらにカードをセットして魔法カード、成金ゴブリンを発動。相手ライフ1000と引き換えに、カードを1枚ドローする。こっち先に引きたかったんだけどなー、フィールド魔法発動、KYOUTOUウォーターフロント。これでターンエンド」

 正直、守りとしてはかなり薄い布陣だ。しかもウォーターフロントの壊獣カウンターを手札を減らさず乗せられるからと入れておいた成金ゴブリンでそのウォーターフロントを引くという微妙に締まらない立ち上がり。だけど、そんなこと言ってたって始まらない。さあ現、どう返してくる?

 現 LP4000→5000

「チューナー……なるほどね。なら魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動。手札の
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