暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
Alicization
〜終わりと始まりの前奏〜
雨気
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―――じゃが、違う。

合っていない。

出てきたスペックに対し、セキュリティのランクが比例していない。苦労して開けた金庫の中身が、チンケな水晶の欠片一つだったような気分だ。

おそらく、まだ見ぬ《先》がある。そのためには他の単語の意味も翻訳していかねばなるまい。

何かくぐもった音が聞こえたような気がし、老人は一瞬耳を澄ましたが、それ以降何も聞こえない。気のせいだと思いなおし、再び思索の海の中に身を投げ出した。

「気になるのは、たびたび出てくるこの《Gコード》といった名称じゃ。あやつの開発した兵器には全て通称とは別の正式コードが与えられているが、そこにG名称のモノはない……」

「兵器といえば、手を貸した国の選別も妙じゃったな……。EU中心に米中露に手を貸さんのは、大戦を誘発させるものと分かる……が、アメリカにはイージス艦に積む戦闘AIを与えた」

「三国間を結ばせないためかの?しかし、それならばどちらかというとロシアのほうが地理的な側面からすぐに火をつけやすいはず……」

ぶつぶつと和室の中、一人で報告書の山に向かって話す様はなかなかに不気味だったが、それを感じる人間もいない。仮にいたとしても、これが老人のいつもの熟考法なのだ。慣れたもので、いつものこととスルーするだろう。

しばらくヒゲを撫でつけるように触っていた重國は、ふと顔を上げた。

「いや――――違う。アメリカでなければならん理由があるのか!」

腕が閃き、紙が舞い散る。だがそれらを歯牙にもかけず、老人の眼は射貫かんばかりに文字を追っていた。

「違う……違う……あったぞこれか!」

それは、重要度があまり高くないと思われていた情報。

小日向相馬が参加した、ハワイ沖、ホットスポットへの深々度潜航探査プロジェクト。

おそらくこれが、小日向相馬が戦闘AIを提供する代わりとして要求した対価だ。ハワイには空軍基地があるため、いくらあの男でも世界の警察相手に正面突破は分が悪いと思ったのだろう。

「ホットスポットというと、マグマ溜まりが地表に近い……とかじゃったかのぅ。ええぃ、地質学までカバーしとらんぞ儂は」

さすがに足の生えた百科事典とかではない。自らの興した企業(ていこく)を広げようと遮二無二に知識を詰め込んだ身ではあるが、それは本来ならば長たる者のするべきことではないのだ。

重國は、手持ちの端末で手早く検索するか、と懐から取り出したものの、画面がつかない。

「……?バッテリー切れかの?」

だが、日常と区切りをつける明確な異変があった。

それは視覚ではなく、嗅覚。光よりも、音よりも原始的に危機本能を刺激する器官。それがうるさいほどの警鐘を鳴らす。

焦げ臭い、香りがした。

「なん…
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