第六十九話
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た。
俺は、ここまでの会話を脳内で何度も何度も繰り返した。
艦娘になる方法。
血液注射。
カネ。
記憶操作。
俺は…………一つの結論に至った。
「じゃあ、この鎮守府の奴等は……!」
俺は目を見開いて、固まった。拓海はそんな俺を見て、コクリと頷いた。
「中には、本部だったり各鎮守府が『買われた』という記憶を消すべきだと判断した人の記憶を、完全に消してしまう場合もある。その人には、『艦娘は海から産まれるもの』と教え込む…………この阿武隈なんかは、まさにそうだね。」
「……………………。」
言葉もなかった。
俺は、呉の事を思い返す。
誰もそんなそぶりを見せなかった。あそこに阿武隈のようなパターンの奴が居るのかどうか、それは分からない。
「…………呉の提督は、すげぇ人だったんだな。」
俺はボソッと、そう呟いた。
「…………僕の数少ない、尊敬する人だよ。あの鎮守府には、そんな経緯の人は一人もいないからね。」
拓海は窓の外を眺めた。
「…………なんだよ、俺にどうこうできる問題じゃねぇじゃんか。」
俺は、力なく笑った。
俺が気にしていたものは、俺が思っていたものよりも、圧倒的に大きな問題だった。
正直な話、色々と信じられないことがある。記憶操作とか、なに言ってんだお前と叫びたいところだが、拓海は嘘をつけない。
それがたとえ、自分にとって不利になることだとしてもだ。
疑えない。信じるしかない。
だとしたら、本当に俺にはどうしようもない。
彼女らに俺は、どう言えばいい?
今までの連中は、望んで艦娘になった連中だ。だから意識も高いし、レベルが高かったのだろう。
じゃあ、ここの連中は?
なりたくてなった訳じゃない。そんな奴等に、どう接すればいい?
…………って、答えは一つか。
「だからどうした。」
俺が気にすることじゃない。俺がやることは、海の上で戦うことだ。
それは、拓海の仕事だ。
「…………そーゆーと思ったよ。」
拓海は笑った。俺は笑わなかった。
「まぁ、もしここに艦娘が増えたとき、そいつが海から産まれたとか言い出したら、容赦なくぶん殴るからな。」
あと、俺が気に食わなかった時とか、と付け足した。
「いやだなぁ。絶対痛いじゃん。」
拓海はまた笑った。俺は少しだけ口角を上げた。
「…
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