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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
新型旗艦
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 けれど。

「え。いえ、確か昨年、装備企画課があげた装備の更新費用の理由付けですが、『装甲車等における不具合の改善に伴うもの』と書いています。何も装甲車に限定してはいません」
 嘘は言っていない。
 相手の反論に対して素早く、理路整然と回答をしている。
 さらにその強い声音と自信ありげな口調を聞けば、ともすればスタイナーでさえも間違いないように思えてくるから不思議だ。電話をかけてから現在まで、わずか十分ほどの会話だったが、相手から漏れ聞こえる声のトーンが明らかに弱くなっていることが分かった。

 当初は聞く耳持たないといった様子であったのに、今ではアレスの話を聞いている。
 むしろ否定の理由を探して必死に口にしているのだろうが、いかんせん相手が悪いとしかスタイナーは思えなかった。無理な理由をつければつけるほど、アレスは自信満々にさらなる否定の言葉を口にするからだ。
 あまりの手馴れた様子に、詐欺師でもしていたのかと思えてきた。

「ええ。別に無駄なことをしようというわけではないのですよ。ええ、もちろん」
 そして、アレスはにっこりと受話器の前で笑顔になった。
 それは獲物を捕らえたような攻撃的な笑みだ。
「上への説明も理解しております。こちらから詳しい事情を説明に伺いたいと思うのですが、キャゼルヌ大佐のご都合はいかがでしょうか」
 スタイナーは目を開いた。

 アレスが言った名前は、予算課の課長に次ぐ地位の人間だ。
 アレックス・キャゼルヌ。
 まだ、三十頃の若い人間であるが、その実力はセレブレッゼ少将にも匹敵し、将来は後方勤務部長も狙える有望な人間であると聞いたことがあった。
「ええ。では、こちらも説明用の資料をまとめますので、来週にお伺いします。ええ、では、どうもお時間ありがとうございました」

 お礼を言って、ゆっくりと受話器を下げるのを見て、スタイナーは受話器の向こうで担当となった人間に合掌をした。
 おそらくその場では決められないと、うまく切り上げようとしたのだろう。
そこで間髪を置かずに、上への説明を行うと、その予定を入れた。
 だが、おそらくは受話器を切った後で気づいたはずだ。
 上への説明をするということは、予算課として話を真面目に聞く必要があることを。

 さらにアレスが指定したのは、課長代理――予算課で2番目に偉い人間である。
 キャゼルヌ大佐と――そして、おそらくは説明の時には装備企画課の大佐にも足を運んでもらうことになるだろうが――こちら側の課長代理が足を運ぶことになる。
 つまり。
「予定を取り付けました。来週までに新型動力機関の開発計画と予算について、まとめてください。あとは……スタイナー少佐次第ですね」

 門前払いではなく、きちんとまとめることができれば、可
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