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人徳?いいえモフ徳です。
八匹め
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「そうですか…。ちょっとシラヌイの所行ってきます」

「大丈夫かの?」

「シラヌイはシラヌイです。俺たちの息子である事に変わりありません」

「良いこと言うておるが、顔背けて赤らめたままでは格好つかんぞ」

「貴方のせいでしょうが…」

ブライと別れたタマモが自分の部屋へ行き、『今の』身長にアジャストした服を着た所で、部屋のドアが思い切り開け放たれた。

「お、お義母さん!シラヌイが!」

「どうしたブライ?」

「シラヌイが家出しました!」

「………………はぁ?」









部屋に一人きりになったシラヌイは、両親の事を考えていた。

「気持ち悪い…よね…」

現在のシラヌイは五歳までのシラヌイと天草不知火の人格が混じりあい、ひとつに統合されていた。

その精神は幼く、しかし知識は大人と同等。

故に、短絡的に答えを出してしまった。

「よし。居なくなろう」

シラヌイは自室の窓を開けた。

「クリエイトウィンド」

自身に風を纏わせ、二階の自室の窓から飛び降りたのだ。

「王都…か…」

シラヌイが済むこの国の名前はフライハイト王国。

自由の名を関するこの国には多種多様な種族が住む。

だが、シラヌイは知識で知っていても実際に見た事は無かった。

故に、多少ワクワクしていた。

先程までの暗い気持ちなど何処かへ消えていた。

精神が子供なのだから、仕方ない事ではある。

「あ、しくった。靴…」

地面に足を着けた所で気付いたが、今さら戻るのは面倒だと思ったシラヌイは、前世の記憶を得る以前、タマモに教わった力を使う事にした。

「獣化!」

シラヌイの骨格が組み変わる。

それは変身であると同時に、本来の姿への回帰でもあった。

白面金毛九尾御前の孫。

その本質は『妖獣』である。

「きゅぅー!」

と一声上げたシラヌイは、街の喧騒へ駆けて行った。

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