第三章
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「よいことじゃ」
「ううん、そうなんですか」
「杉の木にそんなことがあるんですか」
「花粉でくしゃみとかが出るんですか」
「だから少ないことは何よりじゃ。日本は杉の木が多くてのう」
このことを笑ってお話するお爺さんでした。
「困っておる者も多いぞ」
「そんなことがあるなんて」
「思いも寄りませんでした」
「杉の木に」
「そうなのじゃよ、まあこの国は杉が少ないから大丈夫じゃ」
その杉の木がというのです。
「安心してよい。ではな」
「はい、それじゃあ」
「今日は有り難うございました」
「またお会いしましょう」
三匹はお爺さんに礼儀正しく挨拶をして別れました、ですが。
三匹だけになってです、こんなことをお話しました。
「杉の木にそんなことがあるなんてね」
「花粉でくしゃみが出るとか」
「そんなことがあるなんて」
「くしゃみが出るとか嫌だし」
「私もよ」
「私だってそうよ」
三匹共思うことは同じでした。
「だったらね」
「杉はよくないわね」
「そうよね」
「まだもみの木の方がいい?」
「もみの木でくしゃみが出ることはないし」
「それじゃあね」
こうお話するのでした、そしてです。
三匹は杉の木よりももみの木の方がいいと思いなおしました、日本から来た狸のお爺さんのお話を受けて。そうして。
お家に帰ってです、お母さんにお爺さんに言われたことをお話してお母さん兎にこんなことも言ったのでした。
「やっぱりもみの木の方がいいみたい」
「花粉が出ないから」
「それだけにね」
「そうでしょ、もみの木が一番なのよ」
お母さんもこう三匹にお話しました。
「お家がね」
「私達のお家が一番なのね」
「もみの木の下が」
「そうなのね」
「こんなに広くて奇麗で住みやすいお家は他にはないわ」
到底とも言うお母さんでした。
「そのことがわかったわね」
「うん、まさかと思ったけれど」
「お家が一番なのね」
「杉の木の下にあるより一番いいのね」
「そうよ、怖い生きものも来ないし」
このお家にはというのです。
「余計にいいのよ」
「そうよね、怖い生きものは来ないし」
「あのマクレガーさんだって来ないしね」
「このお家にはね」
「だったらいいのよ、広くて奇麗で住みやすくて安全なら」
この四つが揃っていればというのです。
「最高のお家なのよ、じゃあ今からね」
「うん、晩御飯の用意ね」
「お兄ちゃんもそろそろ帰ってくるし」
「お父さんもお仕事から帰ってくるし」
「皆で支度をしましょう」
晩御飯のそれをとです、こうもお話してでした。
三匹の子兎達はお家に戻ってお母さんの家事を手伝うのでした、戻ってきたお家が一番だということをわかってから。
妹達のお
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