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妹達のお話
第二章

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 三匹で森の中にある一番大きな杉の方に行きます、ですが。
 その杉の木の前に来たところで、です。三匹のところに大きな狸の日本の着物と袴姿のお爺さんが来ました。そのお爺さんを見て三匹はまずはこう思いました。
「アナグマさんね」
「アナグマのお爺さんね」
「日本の服を着た」
「ははは、わしは狸だよ」
 お爺さんは三匹に笑って答えました。
「アナグマに似ているがね」
「あっ、違うんですか」
「お爺さんはアナグマさんじゃないんですか」
「狸なんですか」
「似ているけれど違うんだ」
 こうお話するのでした。
「わしはね」
「あっ、そうなんですか」
「お爺さんは狸なんですか」
「そうだったんですね」
「そうだよ、まあアナグマ君とは同居しているがね」
 お爺さんは笑って三匹にお話しました。
「食いものはわしが自分で手に入れてお金も稼いでいるしな」
「そうなんですね」
「お爺さんはアナグマさんと同居されてるんですね」
「自分のことは自分でされて」
「そうじゃよ、日本から移住してきたんじゃよ」
 さらにお話をするお爺さんでした。
「ふと他の国に住みたくなってな」
「だから日本の服なんですね、着物と袴で」
「足も足袋と草履ですし」
「素敵な恰好ですね」
「そうじゃろ、わしはこの服が大好きじゃ」
 着ている着物がというのです。
「それでこっちでも来ておるのじゃよ、移住してきてもな」
「そうなんですね」
「それでこっちでも楽しくですか」
「過ごされていますか」
「うむ、しかしイギリスは杉が少ないのう」
 ふとです、狸のお爺さんは自分達の傍にある杉の木を見上げてこんなことを言いました。
「それは何よりじゃ」
「えっ、何でなんですか?」
「杉の木が少なくていいんですか?」
「それはどうしてですか?」
「うむ、杉の木は春になると花粉を出してくしゃみをさせるのじゃ」
 お爺さんは三匹の子兎達に杉のこのことをお話しました。
「鼻がつまって目にもきて大層辛いそうじゃ」
「へえ、そうなんですね」
「杉の木の花粉で、ですか」
「そんなことになるんですか」
「そうじゃ、それで杉の木が少ないことはな」
 このことがというのです。
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