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『組長と零』
『経緯』

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『...何であそこ居ったんか教えてくれるか?言いにくいとは思うけどワシは零を捨てん。何があってもな!!』

そこらの腐った大人とはちゃう。直感的に感じた。

『...先輩らに援助やらされてて、いつもと違って客が複数のチンピラで...でも零は既に母さんの新しい男のオモチャやけん全然何とも無い。
逆に、こんな汚い生ゴミに金出すとか馬鹿みたいって...』

組長が遮る。

『零が金貰ってるんか?』
『貰ってない。先に先輩らが貰ってるらしいし。てか金あっても欲しいモン買えんし要らん。どぉでもえぇ。何もかもが消えてしまえばえぇ』
『わかった、わかったよ、零...』

組長は涙を流した...ように見えたのは...気のせいだろうか。

ドライをグラスに注いでくれる。

『ワシは零の新たな人生を支えると誓う!!零、オマエも諦めず生き抜け!辛い、苦しい、死にたい、そんな想いを抱えるのは仕方ない。それでも生きろ!!ワシが救う!!』
『...わかった』
『なんや素直やないか...うん、オマエはええやっちゃ!乾杯っ♪』
『乾杯♪』

酔いながらも、此迄の人生を淡々と、ありのまま、聞かれたことにも正直に話した。
組長は怒りを露わにしたり、悲しそうな表情になったり、涙を堪えるような素振りをしたり、そんな組長に対して、私は、父の姿を重ねてしまっていた。

関西弁だし、笑ったときの柔らかさとか、優しさ故の厳しさ、熱血加減が似てる...気がする。そんなに記憶は無いので解らないけど...。でも、父もこんな感じなんだろうなぁと思う。

いや、父なら間違いなく母の旦那を殺す。私の為に。私を守る為なら、それくらい簡単にする人だ。

私は、おしおきをされた後、憎しみを抑えきれない表情の時、母に『オマエの性格や考えは、父さんに似てる。あの血が間違いなく濃く受け継がれてる。爆発するなよ!!』と、言われたことがあった。

間違いなく私の中には父の血が濃く流れてる。

この日から、私は組長を父親のように慕い、親子のような関係になった。

誓い通り、組長はどんなときも助けてくれた。

私に援助をやらしてた先輩達は、全治数ヶ月の怪我を負って入院したらしい...。

あの時の複数のチンピラ共はおとなしくなったとか...風の噂で聞いていた。

自ら手を下したかどうかは解らなかったけど、組長の仕業なのは確かだろう...。

そして、その事で報復に来たといったところだろうか。



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