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空に星が輝く様に
123部分:第十話 夏に入ってその五

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第十話 夏に入ってその五

「そいじょそこいらの野郎じゃ勝てないよな」
「何でそう言うの、そこで」
「外見はちびっ子、中身は悪魔だからよ」
 またいらないことを言うのだった。
「そんなの相手にしたらよ。幾ら何でもよ」
「蹴っていい?」
 むっとした顔で返す椎名だった。
「五回か六回。気が済むまで」
「しかも一発じゃねえのかよ」
「気が済むまで蹴る主義」
 実に椎名らしい言葉だった。それを隠そうともしない。
「だから。覚悟する」
「おい、謝罪の選択肢はないのかよ」
「謝罪と賠償を要求する」
 今度の言葉はこれであった。
「五億ドル」
「韓国への賠償じゃねえんだぞ」
 肩を怒らせての抗議だった。
「何でそうなるんだよ」
「得意なのは踵落としと急所攻撃」
 しかし椎名は狭山に対して尚も言ってみせた。
「どっちがいい?」
「謝罪がいい」
「ならいい」
 ここで椎名は矛を収めてみせた。狭山は何とか助かったかに見えた。
 だが。彼女はここでさらに言うのであった。
「それなら謝罪として」
「ああ、それでかよ」
「皆で行く」
 こう言いだしたのである。
「皆で行く。いい」
「皆でっていったら」
「私も?」
「僕もなんだね」
 津島と赤瀬も言ってきた。自分達のことだと気付いたのである。
「そうなんだ」
「僕もだなんて」
「多い方が楽しい」
 椎名の言葉だ。
「だから」
「だからなの」
「それで僕も」
「つきぴーも呼ぶ」
 また言うのだった。
「これで三組」
「三組!?」
「ああ、そうね」
 狭山は最初聞いただけではわからなかった。しかし津島はすぐに納得した顔で頷いたのだった。彼女の方が察しがいいようである。
「私とこいつと」
「俺かよ」
「それで椎名と赤瀬で」
 狭山の言葉を受けながらの言葉だった。
「これで二組」
「そう。そしてラストは」
「俺と西堀かよ」
 陽太郎がここでわかった。それまではただ話を聞いているだけだったのだ。
「それで三組かよ」
「そう。それでどう」
 あらためて四人に問い掛けてみせる。
「合わせて六人で」
「そうね。いいんじゃないの?」
 津島はあらためて頷いてみせた。
「最初は偵察だったけれど。皆で二回行くのもいいわよね」
「そうだね」
 赤瀬も津島のその言葉に頷いた。
「考えてみればね。皆で二回楽しめばね」
「じゃあ俺もそうさせてもらうか」
「斉宮、ただし」
 椎名は陽太郎が声をあげたその機先を制してきた。
「一つ言っておくわ」
「何だよ、今度は」
「つきぴーだけに専念すること」
 彼をじっと見ての言葉だった。

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