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空に星が輝く様に
108部分:第九話 遠のく二人その二
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第九話 遠のく二人その二

「あいつがか!?」
「気付かなかったのかな」
「気付くとかそういう問題じゃないだろ」
「そうかな。僕はすぐにわかったけれどね」
「すぐにかよ」
「椎名さんをわかるにはちょっとしたコツがあってね」
 コツだというのである。
「表情からも言葉からもわかりにくいよね」
「わかりにくいというか全然わからないんだけれどよ」
「目を見ればいいから」
 陽太郎の上からの言葉だ。優に二十センチ以上の差ははっきりと出ている。
「目をね」
「あいつの目かよ」
「目は口程にものを言うからね。それにいいことを他人に言うのってさ」
「それってよくないだろ」
「人に他の人の悪口は絶対に言わないんだよ」
 逆説的な言葉であった。相手に面を向かって悪口を言うが、というのだ。
「そしていいことは皆に言うんだ」
「皆になんだ」
「そう、皆にね」
 明かせはまた言った。
「結果としてその相手の評判はよくなるんだよ」
「そういえばそうだよな」
 言われてそのことにも気付く陽太郎だった。
「とにかく悪い評判は相手以外には絶対に言わないんだからな」
「そうだよ。実はあれで気を遣ってもいるんだよ」
「意外っていうか今凄い驚いてるんだけれどな」
 陽太郎は実際にその目を大きく見開いてそのうえで述べていた。
「あいつがか」
「今まで気付かなかったみたいだね」
「ああ。そうだよ」
 このことを否定もしなかった。
「まさかなあ。そうなのか」
「そう。そしてね」
「そして?」
「友達思いでもあるんだよ」
 赤瀬は今度はこのことを話したのであった。
「いつも西堀さんのことを気にかけているしね」
「ああ、そうだよな」
 これは陽太郎にもわかった。しかもすぐにであった。
「だからいつも一緒にいるんだよな」
「そうだよ、だから一緒にね」
「そうか。それでなんだな」
「うん、それにしても」 
 赤瀬は陽太郎の上から首を捻った。
「何かあったのかな」
「何かって?」
「いや、本当にいつも西堀さんの側にいるじゃない最近」
「ああ、そうだよな」
 陽太郎も今の彼の言葉に頷く。
「休み時間はずっと一緒だからな」
「西堀さんって四組のクラス委員だけれど」
 今度はこのことを話す赤瀬だった。
「あのクラスには何かあるのかな」
「四組か」
 陽太郎の彼の言葉を受けて考える顔になった。
「四組っていえばな」
「どうかしたの?」
「俺の中学の時の同級生がいるんだよ」
 そうだというのである。
「あそこにな」
「そうだったんだ」
「ああ、佐藤っていうんだけれどな」
 その名前まで話した。
「佐藤星華っていうんだよ」
「星華っていったら」
 その名前を聞いてだった。赤瀬も気付いた
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