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ドリトル先生と和歌山の海と山
第九幕その四

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「不動明王はあらゆる魔を降して清めるからね」
「どんな魔もですね」
「そうだよ、仏教は元々インドから生まれているね」 
 お釈迦様がインドで生まれたからです、お釈迦様の生い立ちについては仏教でもよく教えられています。
「そしてインドの神々が仏になってもいるね」
「そうでしたね」
「当時はバラモン教だったんだ」
「ヒンズー教の原型ですね」
「あの宗教の神々が入っていてね」
 そうしてというのです。
「不動明王もね」
「かうてはインドの神様だったんですね」
「そうなんだ、シヴァ神なんだよ」
「ヒンズー教の三大神の一柱の」
「あの神様が不動明王なんだ」
 そうだというのです。
「実はね」
「シヴァ神は破壊神でしたね」
「そうだよ、創造調和破壊のサイクルの三つのうちの一つを司るね」
「世界を一旦破壊して」
「創造に向かわせる神様ですね」
「そしてインドの神話では様々な活躍をするよ」
 それがシヴァ神だというのです。
「魔を次々に倒してね」
「いい神様でしたね」
「そうだよ」
「そして不動明王もですか」
「魔を倒しているんだ」
 この世のあらゆる魔をです。
「そうしているんだ」
「成程、不動明王のこともです」
「わかってきたかな」
「はい、シヴァ神がこの世を創造に向かわせる破壊ではなくですね」
「その要素がなくなってね」
「降魔の面が強くなったんですね」
「それが不動明王なんだ、僕が学んだ限りではね」
 そこからお話した先生でした。
「そうした仏だよ」
「わかりました、それが不動明王ですね」
「うん、ただ学問で大事なことは」
「聞くだけじゃないですね」
「自分でも本を読んでその場所に行ってね」
「学ぶことですね」
「それが大事だからね」
 トミーにこのことを言うのも忘れませんでした。
「だからトミーもね」
「はい、今度仏教の本も読んでみます」
「僕の研究室にもあるからね」
「読んでね」
「わかりました」
 トミーは先生のお言葉ににこりと笑って頷きました、そうしてです。
 今度は鐘楼に行きました、大鐘楼と呼ばれているそこに来ますと先生はここでも皆にお話をしました。
「ここは通称があるんだ」
「どんな通称なの?」
「ここも立派な場所だけれど」
「どんな風なの?」
「高野四郎というんだ」
 それがこの場所の通称だというのです。
「面白い名前だね」
「ううん、何かね」
「随分と親しみのある感じね」
「そうだよね」
「ただ鐘楼って呼ぶより」
「高野山の場所って感じがしてね」
 動物の皆も言いました。
「その方がね」
「随分とね」
「親しみが持てる感じで」
「いいわね」
「日本独自の通称だね」
 この高野四郎という通称はというのです。
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