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越奥街道一軒茶屋
欲深
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の旦那を掴んでどこかに持っていっちまいやした。

――

 暫くして旦那が帰ってきたんで、色々聞きやした。
 曰く変に歪んだ念というか、そういうものを持っていたらしいんでさぁ。誰彼構わず良くないものを振りまく類の。
 それがあっしらに影響しそうだったんで、褐鴉の旦那が出て行ったと。

「ダチを守るのは当然だろ?」

 飄々と言う旦那ですがね、連れて行った盲目の旦那をどこへやったのかさっぱり言おうとしないあたり、ちぃと恐ろしい気も……。

「それで、お前は天狗とも仲がいいのか、紫虎」

 莞柳の旦那が、半ば呆れた顔であっしを見てきやす。
 天狗と仲がいいのって、そんなに変なことでしたかぃ?
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