暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ペルソナ3
2036話
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「おお、アクセルにゆかりッチ、こっちこっち!」

 桐条グループの研究所に到着し、美鶴に案内されてその建物の中に入っていくと、少ししてそんな声が聞こえてくる。
 誰がその声の持ち主なのかというのは、それこそ考えるまでもない。
 俺やゆかりにとっては、聞き慣れた……聞き飽きた声だったのだから。

「順平、チドリはどうしたんだ?」
「あー……ちょっと気分を悪くしてな」

 その言葉で、チドリの素性を思い出す。
 そう言えば、チドリは桐条グループによって強制的にペルソナ使いとして覚醒させられたんだったか。
 そのおかげで、ペルソナ使いとなる事は出来たが、その暴走を抑える為に制御剤が必要となり、その制御剤は使用者の命を削る。
 ……まぁ、今のチドリはイクシールによって制御剤の副作用もないんだが、それでもやはり桐条グループの研究者や技術者がいる場所に行くのは、精神的に厳しいものがあるのだろう。
 特に、桐条グループで現在活躍している研究者や技術者は、エルゴ研の生き残りとかもいるんだろうし。
 何しろ、研究者の中でも上の立場だった幾月からして、元エルゴ研らしいしな。
 ともあれ、そんな連中がいる場所に来れば、チドリの立場としてはトラウマを刺激されてしまってもおかしくはない。

「で、見舞いにでも行くのか?」

 順平の手にスポーツ飲料のペットボトルが握られているのを見て、そう尋ねる。

「ま、そんなとこだな。じゃ、取りあえず俺は行くから、また後で」

 そう言い、順平は去っていく。
 うーん……あれは若干浮かれているのか? いや、チドリが気分を悪くしたということで、浮き足だっていると表現するべきか。

「チドリをここに連れてくるのは、不味かったんじゃないか?」
「そう思わないでもなかったがな。だが、チドリだけを寮に残しておく訳にもいかないだろう? それこそ、タカヤだったか? あの男がやって来たりすれば、不味い事になる。それに……チドリ本人が行くと言って聞かなくてな」

 なるほど。本人が行くと言ってるのであれば、美鶴の立場としては断る訳にもいかないか。

「そうか」

 それでも美鶴がチドリを気にしているのは分かるので、取りあえずこれ以上は何も言わず、それだけで流す事にする。
 そんな俺の考えは美鶴も理解したのか、その話はこれで終わりとして、俺達を連れて再び通路を歩き始める。
 途中で何度かカードや指紋、網膜、声紋といったものを使って本人確認を済ませていく。
 見れば分かるが、セキュリティ的な意味ではかなり頑丈な場所だな。
 これも、幾月の対策か?
 いや、元々アイギスという存在はこのペルソナ世界であってもかなり貴重な存在の筈だ。
 それを調べる事が出来る設備の整っている場所ともなれば、当然の
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