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リング
144部分:ヴァルハラの玉座その二十五
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た。だがそれだけで充分わかった。
「だから私を。妻にする為に造り出したのです」
「そうだったのか」
「しかし私はあの男のところから去りました。もう一人の私の声に従い」
「もう一人の私!?」
「はい。それは・・・・・・」
 だがここで言葉が途切れた。
「ヴェーヌス!」
「公爵様、ラインゴールドへ」
 彼女は最後の力を振り絞って言った。
「ラインゴールドへ」
「はい。そこで貴方を待っておられる方が。その方に御会いして」
 顔がさらに白くなった。それが彼女が間も無く死ぬということを何よりも雄弁に物語っていた。

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