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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
生存戦 2
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のは大がかりな演習で軽々しく実施することのできないものですが、そちらから生存戦を口にするということは、実施する算段があるのでしょう」
「ある。迷いの森の一画を使ってもらう。さて、こまかいルールについてだが――」
 
 実はハーレイは今回の決闘騒動とストリックランドの唱えるマキシム主義の台頭を苦々しく思っていた。
 連日のようにおこなわれる決闘は賢者の学舎にふさわしくないし、マキシム主義などという偏った考えを広められるのはゆるしがたい。
 そこで学院長とも相談し、だれもが納得せざるをえない方法で手打ちを狙ったのだ。
 噂と数値でしか知らない秋芳の実力を知りたいという個人的な望みもある。
 こうして生存戦に参加する者を募ったわけだが、実に三〇人の希望者が出た。
 その半数以上が秋芳との決闘に敗れた者であった。
 決闘の結果は覆らない。その一度の結果が全てであり、再戦の要求や報復は断じて認めない。とあるが、これは生存戦であって決闘ではない。事実上の再戦が可能とあって、雪辱の機会に飛びついたのだ。
 三〇人。一クラス分の人数だ。多い。多いだけではなく、この人数は三人一組(スリーマンセル)ユニットが一〇も編成できることを表している。
 三人一組のスリーマンセルとは魔導兵団戦における近距離戦の基本戦術単位。前衛は攻撃・防御のふたり、後衛は状況に応じた攻守のサポート役、支援のひとりで構成される。
 理論上強く立ちまわれる布陣だが、支援にまわる後衛の立ち回りが難しく、会得にはプロでも長期的訓練が必要とされる。
 ちなみに二人一組の場合はエレメントと呼ばれ、スリーマンセルから支援の役割を抜いた基本戦術単位だ。実際の戦場ではスリーマンセルが崩れた場合に仕方なく使用する戦術編成で、スリーマンセルよりも劣る編成だが、人数が少ない分訓練は容易である。
 ストリックランドの提唱するマキシム主義のもとに鍛えられた者たちが勝つか、奇抜な手段で決闘を勝ち抜く秋芳がさらなる勝利をつかむのか。

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