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SAO─戦士達の物語
MR編
百五十四話 成長
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。その行為自体が大変子供っぽいのだが、当人は気が付いていないらしく、おかげでリョウは笑いをこらえながら申し訳なさそうにするという、難しいのか馬鹿らしいのか分からない行為を強いられる羽目になった。

「まぁそう怒るな、クッキー食うか?」
「えっ!?クッキーあるんですk……ハッ!?そ、その手にはのりませんから!」
「ほぉ、そりゃまた、成長したもんだ」
そんな事を言いながらも、いざ目の前にリョウの取り出したクッキーが差し出されると、お礼を言いながら嬉しそうに受け取ってかじりつくので、説得力がまるでない。そんな調子で、結局いつもと同じ子気味良い雰囲気に二人の間の空気感が戻り始め……数分もすると、先ほどまで流れていた重苦しい雰囲気はすっかりなりと消え去っていた。

「そういやぁ、シリカよぉ」
「はい?」
「お前さん、どうしてあん時分断があると思ったんだよ、おかげでとりあえずの方針には迷わずに動けてるが……」
「あ、それは……実は前に……」
少し複雑そうな、けれど誇らしげな顔をして、シリカはリョウに語った。以前リズ達ととあるPK集団を相手にしたことがあった事、その集団が拠点にしていたダンジョンで、分断トラップの罠が働き、個別に襲われて、それを切り抜ける必要があった事、そして、他にもリョウの知らない場所で、沢山冒険をしたこと。

「……へぇ」
「それで……?えっと、なんですか……?」
話に夢中で気が付かなかったが、いつの間にか自分の事をまじまじと見ているリョウに、シリカは少し驚いたように軽く身を引く。リョウは少しシリカの顔を眺めるように視線を巡らせると、ニヤリと笑った。

「いや……お前も、いつの間にかお前だけでずいぶん経験積んでんだなって、な。感心したぜ」
「そ、そうですか……?」
「あぁ」
先程よりも素直な彼のほめ言葉に、少し頬を朱に染めて声を弾ませる。

「でも、そうだとしたら、リョウさんのおかげですよ。SAOの時、リョウさんに助けてもらって、その後も色々教えてもらえて、だから今の私があるんです」
「そうか?ピナの事はともかく、その後のは、お前だけでもどうにかなったと思うぜ、俺は」
お前には、そのポテンシャルはたぶんあっただろうよ、と続けた彼に、少し首を傾げて少女は不思議そうに問い返す。

「え……?でも、ならどうして助けてくれたんですか……?」
「ん?そりゃまぁ……俺の都合だな、余計なお節介って奴だ」
「私が強くなると、リョウさんに良い事があるんですか?」
「愛すべき年下女子に万が一にも死なれちゃ、寝覚めが悪いだろうが」
「愛っ……!?」
呟くように口からこぼれた一言に、シリカの顔が真っ赤に染まる。しかし当のリョウはと言えば、その様子を見て呆れたように息を吐く。

「おーい、この程度で照れだして、あ
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