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ドリトル先生と和歌山の海と山
第五幕その十七

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「和歌山城で出ていたよ」
「さっき僕達がいたお城じゃない」
「まさにそのお城よ」
「けれど忍者いなかったよ」
「そんな人達は」
「今日は出ていないんだ」
 残念なことにです。
「その日じゃなかったんだよ」
「あれっ、そうだったの」
「今日は忍者が出る日じゃなかったの」
「そうだったの」
「残念なことに」
「そうだったんだ、だからね」
 それでというのです。
「残念だけれど」
「忍者にはお会い出来ないんだ」
「そうなんだ」
「忍者には会えないの」
「雑賀衆の人達には」
「そうだったよ、残念だけれどね」
 本当に残念そうに言う先生でした。
「もうこのままね」
「行く?高野山に」
「そうする?」
「本当に残念だけれど」
「そうする?」
「うん、そうしよう」
 とても残念そうに言う先生でした、そしてです。
 最後のビールを飲んでです、皆に言いました。
「高野山に行こうか」
「これからね」
「そうしようか」
「キャンピングカーに乗って」
「そのうえで」
「そうしようね」
 こう言ってそうしてでした、皆で高野山に向かうことにしました。忍者のことはとても残念に思いながら。
 そのお話をしてです、王子は先生に言いました。
「じゃあビールも飲んだし」
「今からね」
「高野山に行こうね」
「そうしようね」
「何か先生ってね」
 ここでこんなことを言った王子でした。
「忍者も好きだってわかるよ」
「うん、大好きだよ」
「ああ、やっぱりね」
「さっきも言った通りだよ」
「日本の歴史の中でもだね」
「あんなに楽しいものはないよ」
「スパイだしね、けれど普通のスパイ以上に」
 それこそとです、王子も言います。
「楽しい存在だよね」
「だから見られたらって思ってたけれど」
「それがだね」
「実現出来なかったから」
「今度は伊賀に行きたいよ」
 落胆しつつもこうも思った先生でした、今は残念と思っていても学問のことなら諦めない先生なのです。
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