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正統派パラドル
第四章
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「けれどね」
「それでもですか」
「アマゾンとか滅多なことじゃ行けないでしょ」
「はい、有名な場所ですけれど」
「そうした場所にも行けるから」
 だからだというのだ。
「楽しんでもいるのよ」
「けれど体力は」
「私もずっとマラソンしてたから」
「マラソンですか」
「体力あるから。今も毎日身体を動かしてるし」
 日本にいる時はトレーニングジムで毎日かなり汗をかいているし海外でもいつも歩いている、美奈子は運動を欠かしていないのだ。
「だから安心してね」
「マネージャーさんの体力のことはですね」
「そうよ、気にしないでね」
「わかりました、じゃあ私もマネージャーさんと一緒に」
 美奈子のいつも自分と一緒にいてくれる頑張りに応えてというのだ。
「頑張っていきます」
「日本一のパラドル目指すのね」
「そうなります、お給料もいいですし」
 体当たりの仕事ばかりしているだけにだ、本も売れているしだ。
「頑張っていきます」
「そうしてね、まあ歌はともかくお芝居はね」
「ドラマのお仕事もですか」
「ゲストだけれど入りそうだけれど」
「若し決まったらお願いします」
 光は美奈子に目を輝かせて言葉を返した。
「是非」
「光ちゃんの願いの一つだしね」
「はい、お芝居も」
 まさにそうだからだというのだ。
「楽しみです」
「そっちも頑張ってね」
「はい、是非」
 光は目をきらきらとさせて答えた、そしてドラマの仕事が正式に決まるとそれに熱中して結構な評価を受けた。ここからドラマの仕事も増えた。
 だがその彼女にだ、八条は事務所で笑ってこう言って来た。
「喜べ、遂に時が来たぞ」
「遂にっていいますと」
「そうだ、世界の究極の秘境に行ってもらうことになった」
「また秘境関係ですか」
 うわ、と思いつつ応えた光だった。横には美奈子がいる。
「それですか」
「そうだ、北朝鮮だ」
 この国に行ってもらうというのだ。
「いいな、あそこ行ってもらうぞ」
「あの、北朝鮮ですか」
 これまで様々な秘境を巡ってきた光も流石に引いて八条に聞き返した。
「あそこですか」
「そうだ、まさに究極の秘境だな」
「あそこに行って何しろっていうんですか?」
「決まっている、番組の収録だ」
 八条は光ににやりと笑って答えた。
「首領様と将軍様の像の前でポーズを付ける、あと食糧事情を見てみる軍隊を観察そしてミサイルと核兵器もだ」
「最初から全部投身自殺行為ですよ」
 即座に突っ込みを入れた光だった。
「冗談ですよね」
「ははは、勿論だよ」
 あっさりとそうだと答えた八条だった。
「そんなことしたら本当に大変なことになるじゃないか」
「最後の二つ特に危ないですよ」
「あのおばさんと会ってもらうだけだ」

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