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共和制
第六章

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「人も攫っていないか?」
「新潟は北朝鮮の船も行き来してるし」
「拉致はやっているだろう」
「そんなことも」
 こう自分の子供達に言った、子供達は村本の主張する顔に何かえも言われぬものも感じていてだった。
 親達の言うことの方を信じだした、それは村本の知人や同僚の者達もだった。
「おかしいな、あいつ」
「ああ、共産圏べったりだな」
「共産主義が絶対に正しいと信じていてな」
「北朝鮮にもそう言っててな」
「大丈夫じゃないだろ、あいつ」
「変だろ」
 それこそ巷の所謂変なおじさん以上にというのだ。
「北朝鮮の世襲の共産主義はいいとかな」
「日本の皇室は大反対だってのに」
「共産圏で世襲の方がどう考えてもおかしい」
「それであっちはいいとかな」
「拉致もないとか言ってるし」
「あいつとは付き合わない方がいいな」
「おかしいにも程があるからな」
 こう考え次第に彼とは距離を置く様になった、そしてだった。
 村本は次第に孤立していったが彼の主張は変わらずやがて交流する相手は彼と同じ様な考えの者達に限られる様になっていき。
 北朝鮮の真実が明らかになり批判が巷でも言われる様になりソ連も崩壊したが。
 村本はまだ主張を変えていなかった、その時の彼の授業を受けていた生徒達の目は完全に冷めていた。
「そんな筈ないだろ」
「北朝鮮はとんでもない国だぜ」
「テロに拉致に核開発やっててな」
「軍隊ばかりでかくて」
「大体あそこ共産主義だろ」
「何で共産主義が世襲なんだよ」
 村本の主張を頭から馬鹿にしていた。
「村本頭おかしいぜ」
「絶対にそうだよな」
「あいつ馬鹿だろ」
「昔からああ言ってるらしいしな」
「よくあんな馬鹿が教師やってるな」
「本当にそうだよな」
 彼を完全に馬鹿にし軽蔑していた、それは彼が担任を受け持っているクラスでも同じであった。むしろより冷めていた。
「村本みたいな馬鹿が担任とかな」
「本当に最悪だぜ」
「あいつ同じことしか言わないからな」
「北朝鮮がどうとか天皇制反対とかな」
「あいつ日本人じゃないだろ」
「北朝鮮のスパイだろ」
「そうだろ」
「工作員だろ」
 こう言う有様だった。
「公安に通報しようぜ」
「あいつ公安の悪口も言ってるけれどな」
「何が共和国だよ」
「北朝鮮の何処が共和国だよ」
「あそこ王国だろ」
「それも漫画の暴君が治めるみたいなな」
 そうした感じの国だというのだった。
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