暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第258話 心に届く想い
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 丁度駅に戻ったところだった。
 リュウキ……隼人ともそこで別れ、そしてプローブのバッテリ残量のアラームが鳴る。明日また授業を受けよう、とユウキとランに約束を交わして、携帯端末の接続を切った。
 再び電車を乗り継ぎ、待たせてしまっている母が待つ家へと向かう。

 玲奈は、それなりに疲労がたまっていたのだろう。比較的人の少ない車両に乗り、空いている席へと座ると直ぐにうつらうつらと頭を揺らせていた。それを見た明日奈は そっと微笑むと優しく抱き留める様に手を回して自身に寄り添わせた。玲奈は はっ としていたが、明日奈が。

『今日はありがとう。私もレイが妹で良かったよ―――』

 玲奈に言われた時の事を、改めて返した。少々顔が熱くなってしまうセリフだが、構う事無い。ごく自然に出る言葉だったから。玲奈も少々顔を赤くさせていたが 直ぐに目を閉じて、明日奈に身を委ねた。

『……私も、だからね』

 そう返事を返すと、そのまま夢の中へ。
 明日奈は妹には本当に世話になったのだから、と心を改める。家にいるであろう母を思い浮かべながら、そこから先は 今度は自分がぶつかる番だと。

 そして――世田谷区の自宅に帰りついた時には夜の9時を回っていた。

 玲奈も流石に眠気が飛んだ様で、しんと冷たい空気に沈む玄関ホールを姉と共に進む。ドアロックのかかる音、灯りが自動で点灯する音、それらがやけに響くのを訊きながら、明日奈と玲奈は大きく深呼吸をした。

「レイ。少しだけ部屋で待ってて。……私、準備したら母さんの所に行くから、一緒に行こう」
「え……? 準備って?」
「うん。……想いをぶつける為に、ふさわしい場所があるから。ずっと、考えてた場所。……私達の始まりの場所。そこに母さんを連れて行きたい」

 明日奈の言葉で、何をするのかの察しがついた。
 母とALO……仮想世界で話をするのだと言う事が。

 そして、明日奈にはアカウントがもう1つある。《アスナ》ではではなく《エリカ》と言う名のアカウントが。玲奈は自身の種族 音楽妖精族(プーカ)のスキルを上げる事が楽しくて、まだ他の種族を――と考えられなかったから1つしかない。でも、姉はもう1つ風妖精族(エリカ)を持っている。
 ひょっとしたら――今日と言う日の為に、それを取得したのかもしれない、と思えてしまった。

「うん。判った。……お兄ちゃんは多分いないから大丈夫だよね。部屋の灯りついてなかったし、車も無かった。ちょっと勝手に入っちゃったらまた怒られちゃいそうだけど、今回は大丈夫……だよね」

 それは以前の話。SAO事件の時の話だ。
 兄を差し置いて、先にナーヴギアを装着し、あの事件に巻き込まれた。帰還した時 当然歓喜もあったが、それ以上に家族や親族、そして
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