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おぢばにおかえり
9部分:第三話 高校生と大学生その一
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の柔道部を指導している人なんです。
「で、投げ飛ばされたの?」
「いや、怒鳴られただけ」
「何だ」
 それを聞いてかなりがっかりです。プールにでも投げ込まれて頭を冷やせばいいのに。
「それだけだったの」
「何を馬鹿なことやってるかってさ。心狭いよね」
「それは阿波野君が悪いわよ」
 井本さんの奥さんが笑って新一君に言います。
「そうですかね」
「だって。堂々と制服で大学生の娘に声をかけてたんでしょ?」
「っていうか探してたんですよ」
「誰をよ」
 今度は私が尋ねました。
「いや、先輩を」
「私を?何で?」
「いや、学校の勉強を教えてもらいに」
「嘘でしょ、それ」
 またやぶ睨みになって彼を見ます。
「絶対に」
「まあ嘘だけれどね」
 やっぱり。本当にこんなのばっかりで。
「うそとついしょこれ嫌いよ」
 ここで彼に天理教の教えを言ってやりました。
「そんなことしているとまたほこりが積もるわよ」
「ほこりかあ」
「そう、ほこりよ」
 天理教では悪いことを八つのほこりと言います。をしい、欲しい、にくい、かわい、よく、こうまん、うらみ、はらだちの八つです。特にこうまんやはらだちがよくないとされています。
「そういうことばっかりしていると大変なことになるわよ」
「そうかあ。じゃあ止めるか」
「ついでに大学に来て変なことするのも止めなさい」
 そう彼に言ってやりました。
「いいわね」
「本当に俺って無茶苦茶言われるなあ」
「当たり前よ」
 何を言うかって思ったら。
「やること為すことちゃらんぽらんなのに」
「そうかな」
 本当に自覚がないんですよね、彼は。だから言うんです。
「俺これで結構真面目なんだぜ」
「寝言は起きて言うものじゃないわよ」
 また言ってやりました。
「それを覚えておきなさい」
「先輩は厳しいなあ」
「新一君だけは別よ」
 実際にそうしています。私実は後輩には凄く優しい先輩だって言われてきました。けれど彼にだけは本当に別なんです。あんまりですから。
「わかったわね」
「わかりたくないなあ」
「その反論なのよ」
 わかっててやってるんでしょうか。
「そんなのだから駄目なのよ」
「じゃあ真面目にやればいいんだよね」
「ええ」
 あれっ、私の言葉が届いたんでしょうか。内心びっくりです。

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