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おぢばにおかえり
125部分:第十七話 梅雨ですその三
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「だから奈良のど田舎だって。ここに来たのだって高校受験の時がはじめてなんだよ」
「だから知らないのね」
「ああ、悪いけれどな」
 別に悪くはないですけれど。ただ奈良県ってそんなに地域ごとによって違うんでしょうか。結構大きな都道府県だってイメージはあるんですけれど。
「最初にここに来て何て長い商店街だって思ったしな」
「あそこはね」
 自宅生の通学路でもあります。とにかく長いんです。
「また特別にね」
「あそこ通って二日かけてテスト受けてな」 
 その間私みたいな子は詰所に泊まって受けていました。それを考えると地方から帰る子というのはかなり手間がかかります。これが北海道や沖縄になるとそれはもう、です。
「これで落ちたら洒落にならないなって思ったよ」
「それでも受かったのね」
「ああ。ついでに思ったことはな」
「何なの?」
 今度は私が彼に尋ねました。
「いやな、ブスが多かったらどうしようかなって」
「多いって言ったらはったおすわよ」
 自宅生の娘の言葉です。顔は少し笑っていますけれどそのオーラも目も本気のものでした。本当にはったおすつもりなのがわかります。

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