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頑固爺
第五章
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「また愚かな意見が出る、そして最悪の場合は」
「皇室を廃止しろ、ですか」
「そうした意見も出ますか」
「日本にはあるそうですが」
「そうした意見もですか」
「ある、わしはこうしたことを言う者達を見てきた」
 そして知っているというのだ。
「共産主義か共和主義か知らんが」
「日本ではですね」
「それを入れてはならない」
「絶対にですね」
「皇室の歴史と伝統を護る為に」
「そうだ、だからだ」
 それ故にというのだ。
「油断は出来ない」
「まだですか」
「皇室の在るべき姿に戻っても」
「それでもですか」
「そうした輩は日本の皇室は反対するがだ」
 廃止しろと言うがというのだ。
「北朝鮮の世襲制の共産主義はいいのだからな」
「それ違いますよね」
「あの国の方がおかしいでしょ」
「どう考えても」
「そう思うのが普通だ」
 東尾も言い切った。
「やはりな、しかしな」
「お国ではそんな人もいますか」
「そんなおかしな人が」
「どう考えてもあの国の方がおかしいですが」
「日本の皇室を批判してあの一家はいい」
「世襲制の共産主義は」
「わしはそんなことは言わん」
 その様なおかしなことはというのだ。
「そして皇室もだ」
「日本に必要ですね」
「お国の歴史と文化、伝統を担う方々は」
「皇室なくして日本なし」
「そうお考えだからこそ」
「これで安心したりはしない」
 決してというのだ。
「だからこれからもだ」
「主張されていかれますか」
「そして動かれていくのですね」
「皇室の為に」
「そうだ、わしは休むことはしない」
 死ぬその時までというのだ。
「論じていくぞ」
「頑張って下さい、プロフェッサー」
「我々は貴方を支持します」
「そして及ばずながら協力します」
「済まない、わしは君達と共に主張し動いていくぞ」
 東尾は油断せずそして挫けることも止まることもなかった、彼にとっては生来挫折というものは次の飛躍、成長の為のステップであったことも大きかった。
 彼はまだ言い続けた、それは実に大きな声であった。しかもそれは日本に完全に残り皇室の在り方について残った。彼を頑固で古い人間と言う者もいれば日本とりわけ皇室を心から思う信念の人と言う者もいる、だがどちらにしろ彼の言葉が日本の皇室の在り方を大戦前までの状況に戻し宮家や皇位継承権についての懸念を大幅に解消したのも事実であった。それはいいことであろうか。
 そしてイギリスでの仕事の契約期間を終えて日本に帰った東尾はすぐにその足で日本の宮内庁に入り高らかに日本のこれからの皇室の在り方を説いた、宮内庁の面々は口煩いのが直接帰って来たと辟易したが国内の支持者達は彼の帰国を歓迎した。このこともまたそれぞれであったが彼は動き続けていた。彼が
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