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完全復讐
第二章

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「ですから」
「それで、ですね」
「はい、完璧なまでにです」 
 それこそというのだ。
「辻褄が合っています、ジグゾーパズルの様に」
「ジグゾーパズルですか」
「創られたものです」
「創られたものだから」
「完璧なものは創作ですから」
 ホームズはそこに真実を見ていた、完璧なアリバイであるからこそだ。
「完全な形や色の果物はないですね」
「必ずどれか一つ欠けていたりしますね」
「そうです、完全なものがあるとすると」
「創られた果物ですね」
「そうしたものです、ですから」
 それでと言うのだった。
「完全なアリバイこそ疑うべきであり」
「彼等はですね」
「僕が彼等を推理していれば」
 その時はというと。
「確実に彼等のアリバイを崩していました」
「既にその知恵はおありですね」
「はい」
 その通りとだ、ホームズは刑事に確信している言葉で答えた。
「そうしていました」
「そうですか」
「犯人達も最初から突き止めていました」
「しかしホームズ」
 ここでワトソンがホームズに横から言ってきた。
「今回の事件ではだ」
「そう、彼等は主役じゃない」
「脇役に過ぎないからね」
「僕もそれはわかっているよ」
 ホームズはワトソンに顔を向けて刑事に対しているのと同じ口調で答えた。
「既にね」
「そうだね、君ならね」
「そう、問題はです」
 ここでまた刑事がホームズに言ってきた。
「もう一人の人物です」
「喪服姿の長身の男ですね」
「はい、ドクターSですが」
「まず本名とはあまり関係ないでしょうね」
 ホームズは刑事に答えた。
「その名前は」
「やはりそうですか」
「はい、本名の中にSという文字が一文字位あるかも知れませんが」
「頭文字かも知れないにしても」
「それで彼の全てかというと」
「違いますか」
「あまりです、アベックの彼氏の兄といいますが」
 それもというのだ。
「どうもです」
「おかしいですね」
「シカゴ警察検死局の病理学者といいますが」
 その喪服姿の男が名乗った自分の立場だ。
「普通に考えてそうした人物ならです」
「身元がはっきりしますね」
「試しにシカゴ警察にお聞き下さい」
 彼がいたと言うそこにだ。
「おそらくそんな人物はいないと言います、そしてです」
「被害者の男性の兄かというと」
「それもです」
 この告白もというのだ。
「怪しいものです」
「そういえば被害者の身元は調べたのですか?」
 ワトソンは刑事にこのことを尋ねた。
「お兄さんがいたのか」
「それは」
「調べてもですか」
「どうにもです」
「お兄さんがいたとは」
「わからないですか」
「不明です」
 刑事はこうワトソンに答えた。
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