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恋人のいる時間
第三章

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「別にいいわ」
「いいの?」
「別にいいの?」
「キスは」
「ええ、いいわ」
 こう皆に答えた、目の前の体育の授業のバレーの試合を観ながら。
「それはまだね」
「早くすればいいのに」
「そっちも」
「そしてキスからもね」
「やってみたら?」
「だって今のままでね」
 恥ずかしがっているのが自分でもわかった、そのうえで話した。
「充分楽しいから」
「そこで充分って言わずにね」
「どんどん前に進んでいけばいいのよ」
「相手も乗ってきたらね」
「それでね」
「そんなもの?けれど私は」
 今はだ。
「暫くはね」
「このままでいいのね」
「キスはしない」
「それでいいの」
「ええ、いいわ」
 こう言ってそしてだ、私は今はいいとした。けれどそう言って一週間後だ。私は難しい顔で学校に来てから皆に言った。
「昨日学校から一緒に買える時にね」
「キスされた?」
「というかした?」
「そうなったの?」
「成り行きでね」
 顔を赤くさせて話した。
「まあね、お互いにね」
「よかったじゃない」
「そうしたものよ、ファーストキスって」
「何か成り行きでね」
「そうなるのよ」
「そうよ、成り行きでそうなって」
 本当にそうなった、お互いに最初はそのつもりはなかったけれど。
 それでもだ、気付いたらだった。
「はじめてね」
「よかったじゃない」
「何はともあれキスも出来て」
「ファーストキスも出来て」
「また先に進めるわね」
「もう今のままでいいとは言わないわ」
 付き合う前もキスの前も言っていた、何か言うこと自体がフラグに思えてそれはと止めた。
「けれどよかったわ」
「キスよかったわよね」
「充分にね」
「そうだったわね」
「うん、よかったわ」
 こう皆に答えた。
「何か不思議な気持ちよ」
「キスが出来て」
「それでよね」
「そうよ、じゃあ今日もね」
 この日のことも皆に話した。
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