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地毛の金髪
第二章
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「言うのよ」
「だから馬鹿だからだろ」
「馬鹿だからわからないんだよ」
 これが兄達の返答だった。
「そうしたこともな」
「馬鹿だからわからないんだよ」
「そうなのね、というかこの場合アホでもいいでしょ」
 友美は大阪でよく使われる罵倒語も出した。
「とにかく今思い出してる腹立つわ」
「地毛なのに染めてるとか言われるとね」
「そうよ、それで校則違反とか言われるのはね」
 弟にも言った、とかくだった。
 友美は自分の金髪が染めているから校則違反だとか言われることを嫌っていた、それは高校生になった今もだ。
 だがその友美にだ、ある日だった。
 大阪の上本町にあるハイハイタウンを歩いている時にだ、軽い男達が声をかけてきた。
「お姉ちゃん何処行くの?」
「一体」
「その金髪奇麗だね」
「地毛かな」
「そうよ、地毛よ」
 友美は男達の問いに笑顔で応えた。
「この金髪はね」
「うん、地毛の金髪いいよね」
「ハーフかクォーターなのかな」
「可愛いしスタイルもいいし」
「ポイント高いよ」
「それで何か用なの?」
 友美は自分に声をかける彼等に胸を張って聞き返した、ミニスカートにハイソックスが如何にも女子高生らしい恰好だ。
「一体」
「そうそう、時間ある?」
「これからね」
 男達は友美に笑ってこうも言ってきた。
「喫茶店で話しない?」
「そこのね」
 丁度自分達がいる喫茶店に顔を向けての言葉だ。
「そこでお茶でも飲みながらね」
「それでお話しない?」
「宗教の勧誘?」
 友美は男達にややじと目になって返した。
「それはお断りよ、キャッチセールスもね」
「どっちもじゃないよ」
「ナンパだよ、ナンパ」
 そっちだとだ、男達は軽い調子のまま答えた。
「ちょっとお茶しない?」
「それで携帯の番号とかメアド交換しない?」
「ラインとかもしたいし」
「駄目かな」
「生憎だけれど先客がいるの」
 友美は男達に明るい笑顔になって告げた。
「残念だったわね」
「えっ、彼氏持ち?」
「そうだったんだ」
「そうよ」
 今度はあっさりと返した、とはいっても笑顔はそのままだ。
「もう一人いるから」
「ちぇっ、じゃあ仕方ないな」
「それじゃあ諦めるしかないか」
「彼氏持ちの娘だとな」
「もう仕方ないな」
 男達はそれならという顔になって述べた。
「折角可愛かったのにな」
「諦めようぜ」
「そういうことでね、別の娘当たってね」
 ナンパならとだ、友美は最後も笑顔でだった。
 男達と別れた、だが後日だった。その彼氏と二人でデート中に。
 一緒に阿倍野の方を歩きつつだ、彼氏にこんなことを言った。
「この前ハイハイタウンでナンパされたのよ」
「それでどうしたんだよ」
「断った
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