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ヘビメタ書道
第一章
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               ヘビメタ書道
 玉川早百合は書道三段の腕を持っていて今度は四段に挑戦しようと考えている、だがどうにもだった。
 最近スランプを感じていてだ、部活で書いていても言うのだった。
「何かね」
「調子が出ないですか」
「そうなの」
 後輩の娘にもこう返した。
「どうもね」
「そうは見えないですけれど」
「何かこれまで通りの字でしかなくて」
「もっと上手な字にですか」
「なりたいの、けれどどんな書体で書いても」
 それでもというのだ。
「何かね」
「違うっていうんですか」
「ええ」
 こう後輩の娘に答えた。
「何か自分の殻っていうか限界をね」
「突破出来ないんですか」
「そうなの、幾ら書いてもね」
 そうして練習をしてもというのだ。
「そんな気がするのよ、またコンクールだってあるのに」
「そのコンクールにもですか」
「こんなのだとね」
 どうにもというのだ。
「駄目かも」
「ううん、スランプってことですね」
「実際それ感じてるわ」
「あれですね、周りは別にと思っていても」
「こうしたことは自分がどうかでしょ」
「はい」
 その通りだとだ、後輩の娘も答えた。
「そうですよね」
「だからね、今ね」
「スランプをですか」
「乗り越えられなくてね」
「苦しいですか」
「幾ら書いても。家でそうしても」
 部活だけでなくというのだ。
「休日なんか朝から晩までって感じで書いてるけれど」
「凄いですね」
「そうしていてもなのよ」
「駄目ですか」
「出来てないわ」
 実感としてそう感じているというのだ。
「どうもね」
「ううん、深刻ですね」
「書道についてはね、あと数学はね」
 勉強のことも言う早百合だった。
「また追試だったわ」
「それは先輩の場合いつもじゃないですか?」
「ええ、文系はどれもまた学年トップクラスだったけれど」
「数学はですね」
「赤点だったから」
「それはスランプじゃないんじゃ」
「いつも通りね」
 自分にとってはとだ、早百合は今度は自分から言った。
「そっちは」
「そうじゃないですか?」
「それじゃあこっちはいいわね」
「はい、けれどスランプですか」
「どうもね」
「それじゃあたまに気分転換とかどうですか?」
 後輩の娘は書き続ける先輩にこう提案した。
「それなら」
「歌留多や読書ならしてるけれど」
「他にもですよ、音楽を聴いたり」
「音楽ね。そういえば最近そっちは」
「されてないですよね」
「ええ」 
 その通りだとだ、早百合は答えた。
「言われてみればね」
「じゃあここはですよ」
「音楽ね」
「はい、それで気分転換もして」
「そうしてなのね」
「やっていけばいいんですよ」
「そう
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