暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
艦娘とスイーツと提督と・26
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ただの浪費だ。

「そんなアホな計画を立てる連中を沢山見てきてるからね……昔も、今も」

「艦のお前らが気に病む事じゃねぇと思うがなぁ?」

 過去の海軍も追い詰められていたとは言え、無謀な特攻は無策と変わらないというのが俺のスタンスだ。今のブラック鎮守府なんざ論外だがな。

「人の姿をして、人の心を持っていても……私達艦娘は所詮兵器よ、最悪の事態に対して覚悟は出来てるわ」

「……だけど、その最悪の事態を引き起こした原因があの戦争の時のように下らない理由だったとしたら、少なくとも私は怨み続けるわ。間違いなくね」

 戦争末期には根拠もない根性論や無茶な作戦、圧倒的な物量と戦力の差で幾つもの辛い別れを味わってきた霞。その小さく見える彼女の言葉は酷く重厚で、妖気のような陰鬱さを放っている。

「もし、もしも。私達艦娘が轟沈してその怨み辛みが深海棲艦を産むのなら……私は間違いなく、深海棲艦に化けるんでしょうね」

「バ〜カ、何独りでダークサイド堕ちて浸ってやがる。遅れてやって来た厨ニ病ですかぁ?ベイダー卿にでもなってみるかコノヤロー」

 ズビシ!と霞のデコの中心にデコピンを叩き込む。爪の部分がまともに当たり、バチン!と大きな音がする。赤くなってきた。痛いぞ〜あれは。

「ちょっと、痛いじゃない!何すんのよ!?」

 赤くなったデコを抑えたまま、涙目の霞が喚く。

「誰がお前を指揮してると思ってやがる。俺だぞ?四半世紀も提督やってるベテランもベテラン、古狸のレベルだぞ?そんな俺がお前ら沈めるような作戦立てるかよ」

「あ、あんたねぇ……そう言う慢心が隙を生んでーー」

「『帰ろう、帰ればまた来られるから』……いい言葉じゃねぇか」

「……え?」

 有名な『キスカ島撤退作戦』の折、霞に座乗していた事もある木村昌福中将が残したとされる言葉だ。とは言え、キスカ島撤退作戦自体は、霞が木村中将を乗せてニ水戦旗艦になる前の話だが。

「死んだってこっちの戦力が減って敵との差が開くだけだ。なんの意味もねぇ。だが、生きて帰れば更に鍛えてリベンジ出来るからな」

 俺は訓練こそ厳しくやるが、戦果を他の連中と競うように稼いだ事は無い。出来る限りのらりくらりと必要最低限の任務をこなし、むしろ現金収入になる企業からの護衛任務等に精を出している。お陰様で『昼行灯』やら『守銭奴』なんて陰口を叩かれたりする。明るい昼間に照明である行灯を点けてもぼんやりと光るだけで意味のない……ただあるだけの存在だと。俺は艦娘の安全を最優先にしてるんでな、昼行灯?結構じゃないか。南西諸島方面だけでなく、南方・西方海域への玄関口でもある要衝のここブルネイで、防諜をこなしつつ艦隊の出入りを捌き、程々に任務をこなしつついざという時の備えとして
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