暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ペルソナ3
1999話
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 9月5日の夜。それは、待ちに待った……って訳ではないが、満月の日だ。
 そんな訳で、今日の俺は影時間になる前から巌戸台分寮にいた。
 本来ならタルタロスに行くなりなんなりしてるんだが、イレギュラーシャドウが現れる満月にそのような真似が出来る筈もない。
 そもそも、満月になるとタルタロスのシャドウは凶暴化するから、戦うのも色々と面倒なんだよな。

「今日のイレギュラーシャドウが何匹現れるか分からないけど、残りのイレギュラーシャドウは4匹。であれば、上手くいけば今月と来月でこの影時間は終わる筈だ。だから、今日は全力で頑張って欲しい」
「勿論です、理事長。残り4匹のイレギュラーシャドウ。残らず私達が倒してみせます」

 幾月の言葉に美鶴がそう言葉を返すが、何で今日に限ってそんな事を言うんだ?
 いやまぁ、今までもイレギュラーシャドウが出てくる際には同じような事を言っていたのかもしれないが。
 やっぱり、残り4匹まで減ってきたから……か?
 もしくは、こうして影時間を解決する為に全力で動いているというのを見せておき、美鶴や俺から武治に伝わる事を願ってのものなのか。
 その辺りの理由ははっきりとは分からないが、とにかく今日の幾月はかなりやる気に満ちているのは確かだ。
 そんな幾月を見ながら……ふと、気が付く。

「ん? 順平はどうした? まだ部屋にいるのか?」

 そう、本来であれば、イレギュラーシャドウ相手の戦いで活躍するという事を期待している順平の姿が、ここにはなかったのだ。
 いや、正確には俺が巌戸台分寮に来た時はここにいたのだが、話している途中でいなくなった、というのが正しい。

「ああ。順平ならちょっと忘れ物があるから部屋に戻るって」

 有里の説明で、納得する。
 なるほど。忘れ物をしたという辺り、順平らしいと言えばらしいな。
 そんな風に考えつつ……そのまま時間が経ち、影時間まで残り5分程になっても、順平は自分の部屋から出てこない。

「妙だな」

 美鶴もその状況に疑問を持ったのか、不審そうに呟く。
 順平はお調子者だが、今ではS.E.E.Sの中でもその大剣と剣道部で得た実力により、かなりの攻撃力を持つ。
 ペルソナチェンジで変幻自在のペルソナを操る有里や、長年ボクシングで鍛えてきた真田、鍛えてはいないが純粋な身体能力と卓越した潜在能力を持つカストールを操る荒垣、そして万能の天才と呼ぶべき才能を持ち、冷静な判断力を持つ美鶴。
 そんな者達に、勝るとも劣らぬ程の実力を発揮出来るようになっているのが、今の順平なのだ。
 それだけに、S.E.E.Sの中でも重要な戦力として扱われている。
 順平本人もやる気に満ちている以上、イレギュラーシャドウとの戦いを前に、この場にいないということは不自然だ
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