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天使のような子に恋をした
天使のような子と一緒に帰った
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人が優しい人で良かったぁ」

 そんなことを話しつつ、今度こそ帰路に就いた俺と翔真。まあ、先に南さんを送っていく訳だが、同じ神田明神方面ということだ。あまり時間は掛からないんじゃないかな。

 秋葉原駅から神田駅まで徒歩15分弱。電車もあるが、使うほどの距離ではない。徒歩の方が速い時もある。神田明神に行くなら尚更。秋葉原から歩いて行った方が確実に速い。

「ことりちゃんは音ノ木坂だったよな」

「うん、そうだよ。それがどうかしたの?」

「いや、廃校問題とか大変だっただろうなって思って」

「ああ、うん……。確かに大変だったね」

 廃校という単語に少し驚く俺。
 音ノ木坂って音ノ木坂学院のことだよな? 実際にこの目で校舎を見た事があるけど、大きくて立派な校舎だったし、廃校問題の危機に立たされるような要素は見つからなかった。

「……ちょっと待て、初耳だぞ。なんで翔真はそのこと知ってるんだよ」

「いや、μ'sのファンなら知ってて当たり前だぞ?」

「μ's? 廃校とμ'sに何の関係があるんだ?」

「……お前、本当に何も知らないんだな。廃校を阻止する為に誕生したグループ。それがμ'sなんだよ」

 初めて知った。そもそもμ'sの存在を今日初めて知った訳だが。音ノ木坂がそんなことになっていたなんて。

「でも、知らなくて当然だと思うよ。ニュースでも取り上げられなかったもん。一応学校のホームページでは発表したみたいだけど、他校のホームページなんてまず見ないよね」

「……まあ、ね」

「μ'sのファンなら誰でも知ってるのになぁ」

「だから俺はファンじゃないっつの」

 だけど、折角μ'sのメンバーである南さんと友達になったんだ。μ'sのこと、そして南さんのことをもっと知りたい。

「南さん、お願いがあるんだけど……」

「うん? 何かな?」

「良ければでいいんだけどさ、μ'sのこととか、教えてくれないかな? 俺、全然知らなくて……」

「……! うん、もちろん!」

 ──ドクン。

 本日3度目となる胸の高鳴り。一体俺はどうしてしまったんだろう。こんな立て続けにドキドキするなんて初めてだ。ただでさえ、胸の高鳴りなんて滅多に起きるものではないのに。

 ──それに、さっきから南さんのことが気になって気になって仕方ない。
 声、仕草、匂い。全ての南さんの要素が俺のことを刺激してくる。

 やっぱり俺は、南さんのことを──

「……神崎くん?」

「……あ。えと、何か用かな?」

「えっ? μ'sのことを教えようと思ってたんだけど、神崎くんぼーっとしてたから……」

「そ、そうだったね。ごめんごめん」

 今ので確実に怪しまれてしまった。
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