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嗤うせぇるすガキども
戦車は愛と正義を否定する 中編
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がそこで起こります。
 碧暁様はその時のあるティーガーの車長となって、戦闘終了まで生き残れば試練達成です。戦死すれば、ミッションは失敗です。よろしいですか?』
「良いも悪いもないだろう。大公爵閣下のご意向なのだろうからな」
『さようにございます』

 ふん、アメリカ兵などティーガーを見ただけで震え上がって逃げ惑う連中ばかり。
 今度こそ鍛えた腕の見せ所。なんとかなるだろうと玖波は思っている。
 シャーマンが出てきても、1,000m以上かなたから全部スクラップにしてやるよ。
 独立重戦車大隊はエリート集団なのだから。
 玖波がそう思っていても何もおかしくないだろう。
 もっとも彼のいう「メスゴリラ」だったら、珍しく「お断りします」と言ったかも知れない。
 彼女は歴女ではなく、ガチ本物の歴史家だから。
 それはともかく、少年悪魔がまた玖波の目のまえに両手を広げ、光を発する。
 そして玖波はまた、おそらく欧州のどこかへ飛ばされていった。






 そこは開けた平地ではなく、木々の生い茂る山岳地帯だった。
 ドイツ軍はベテランと新兵、いや、子どもや年配者まで混じった「国民擲弾兵」部隊を主力に、通常なら最前線に出るはずのない「要塞機関銃大隊」から引き抜かれてきた重機関銃隊、そして玖波らの独立重戦車大隊の、精鋭ティーガー部隊の混成部隊。
 兵士が経験不足でも、それを率いる軍曹たちは開戦から戦い続けてきたベテランだ。
 機銃陣地には「電気ノコギリ」とアミー(アメリカ兵)から畏れられるMG42があり、それを撃つのは要塞機関銃大隊の、これもベテランたち。
 戦車さえ倒せれば、おそらくあとはどうと言うことはないだろう。
 玖波は敵の出現を、今や遅しと待ち構えている。

 そしてついに戦闘が始まった。
 前方にいた偵察部隊が、連隊規模のアメリカ軍と遭遇したと報告した後、音信不通となる。
 敵は砲兵をともなうらしく、野砲がこちらの陣を攻撃してくる。
 しかし、巧みに構築された塹壕群が被害を局限している。重機はすべて無事。
 戦車もかすり傷一つない。
 縦深陣に構築された最前部の部隊とアミーどもが接触。こちらの機銃の火線が奴らを押さえ、奴らは攻め上ることができない。奴らに戦車がないからだ。
 戦車1個大隊ぐらいは随伴してくるだろうと思っていた玖波は、拍子抜けした。
 自分が戦うまでもなく、こいつらは撃退される。所詮贅沢と享楽になれたアメちゃんだ。
 今度は勝ったな。玖波がそう思ったとき、事態が動いた。

 それまで電気ノコギリの火線網の前に動くこともできなかったアメリカ兵が、意味不明の雄叫びとともにいきなり立ち上がり、数千人の津波となって怒濤のごとく押し寄せてきたのだ。
 何を叫んでいるんだ? 玖波にはわ
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