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嗤うせぇるすガキども
戦車は愛と正義を否定する 前編
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 この日、本当なら「少年悪魔」はオフだった。
 しかし、誰かは知らないが人間の分際ででたらめな魔方陣を書いたものがいたせいで、無理やり地上に呼び出され、その結果いま彼は海の上にいる。
 正確に言えば、聖グロリアーナ学園艦の舳先にある「紅茶の園」とかいう古めかしい建物の裏の人工林の中だ。

「何だよお前は、ガキじゃないか。
 僕はもっと強力な悪魔を呼びつけたんだぞ!」

 この男、人(ではないが)を強制的に召喚しておいて、ずいぶんな言いぐさだ。
 周囲には生け贄に使ったのであろう動物たちの惨死体が無数にころがり、すさまじい血のにおいが漂う。

『ふーん。
 強力な悪魔というなら、このくらいのことができればいいのか?』

 少年悪魔は右腕を真横、聖グロ艦の左舷に伸ばし、手のひらから閃光を発した。
 そのとたん自然界では決してあり得ない波高200mはありそうな津波が起こり、こっちに向かってくる。
 全長10kmを超える洋上の10万都市、聖グロ艦といえども転覆は必至だ。
 召喚主は、驚愕の視線のまま凍り付いている。

『冗談だ』

 少年悪魔は手のひらを閉じて、腕を引っこめる。
 たちまち津波は消え去り、もとの穏やかな海面にもどる。何もなかったかのように。
 彼は、眼前で顔面蒼白になっている「召喚主」を観察する。
 おそらくは、高校生の男。
 それがなぜか聖グロのロイヤル・ガードを模した、赤黒のタンクジャケットに黒のスラックスという服装に身を包んでいる。
 少年悪魔はいぶかしがる。

『聖グロリアーナ女学院は、いつから男女共学になったんだ?』

 召喚主は胸を反らしてこう答えた。

「ちがうな。この僕だけが特例で入学したんだ。
 いいか? 女子校に男子生徒を入学させてはならないと書いてある法律はない!」

 少年悪魔は肩をすくめた。
 ああ、そいつは確かに事実だ。条文で禁止している法律はない。
 つまり特別法がないのだから、一般法に従わなくてはならない。
 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
 権利の濫用は、これを許さない。
 どこに書いてあるかは、角谷杏なら知っているだろう。
 こんな当たり前のことをなぜ法律の最初に書いておくのかと、少年悪魔は疑問に思っていたが、目の前の召喚主を見て納得した。

『では、契約の条件は?』
「僕はお前と対等以下の契約など結ぶ気などない。
 まだ気がつかないのか? バカが。お前は僕の下僕だ!」
『つきあいきれんな……』

 どっちがバカだかと背中に書いて、少年悪魔は去ろうとする。ところが……

「と・ま・れ」

 召喚主がオーダーすると、少年悪魔は足を宙に預けたまま、片足で
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