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NARUTO 桃風伝小話集
その27
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草隠れの道具として、木の葉隠れに連れて来られた時、香燐はまさか、自分の身がこんな風になるとは、まさに夢にも思っていなかった。
木の葉の里の中枢部分を、赤い法被を纏い、腰に大きな巻物を提げた白い長髪頭の男の背中から決してはぐれないように、びくびくしながら付いて行く。

草隠れの人間として木の葉の里に足を踏み入れた香燐が、木の葉の里の一番重要だろうこんな深い場所で、目の前を歩くこの男と離れたりなどしたら、きっと香燐は木の葉への侵入者として即座に殺されてしまうのに決まっている。

草隠れではそうだった。
忍五大国の一つである木の葉の里は、小国の草隠れなどよりも、もっと恐ろしい事をされて殺される事になるのかもしれない。
それは死んでも避けるべき事態だ。

せっかく運良く生き延びられたのだ。
そんなのは絶対にごめんだった。
命を繋ぐ事ができたのだから、どんな手を使ってでも、絶対に生き延びてやると決意する。

幸い、草隠れとの縁も切る事が出来そうな上に、草隠れ程香燐の特異体質を重視せず、なおかつ、この世界でも有数の力を持つ木の葉に身を寄せる事が出来るかもしれないのだ。
この期を逃す訳にはいかなかった。

そう改めて現状を振り返った時、香燐は、自分が目の前を歩くこの大きな男に付いて来る事になった原因の事が頭を過った。

中忍試験を受ける最中、大熊に襲われ、逃げ惑っていた香燐の事を、間一髪で救い出してくれた、同じ一族のうずまきナルト。
香燐と同じ一族を示す赤い髪をしていたのに、香燐の知る一族の誰よりも煌めく不思議な色の赤い髪をしていた。
香燐の目には、それはまるで、夜が明け始めた東雲から曙の間にだけ見る事が出来る、美しい太陽の色のように見えた。

だから、うずまきナルトが香燐の命を助けてくれたように、開けない夜は無い、と。
どんなに辛い事があっても変わらず朝がくるように、辛い事には終わりがあって、必ず希望は無くならない、と。
うずまきナルトの形をした大きな何かに、そう教えられているような気さえした。
そうして、心からの安堵を覚えて、これで助かった、と、香燐は幸せになれると、そう思えたのに。

それなのに。

自分の存在を認めたうずまきナルトの告げた事は、香燐のその気持ちをズタズタに引き裂くような現実を言葉少なに伝えて来た。
香燐を助けてくれたうずまきナルト自身も、香燐と同じように道具として利用されている身の上だった。

いや、もしかしたら、香燐よりも酷い状況にあったのかもしれない。

だから、うずまきナルトは必死だった。
必死で、香燐の被る害と不利益について真摯に説いてくれた。
草隠れで同じような目に合っていた香燐には、語られずともうずまきナルトの語るそれが、うずまきナルト自身が木の葉からされている扱い
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