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嗤うせぇるすガキども
これが漢の戦車道 A
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能力も低い。囲碁将棋でも女流はワンランク下だろ。
 女子スポーツでも監督やコーチはたいてい男だ」

 はあ、いわれてみればそうだなと、鹿次はいまさらながら気がつかされた。

「しかし、戦車道の試合には、他のチームスポーツのような監督もコーチもつかない。
 全部乗車中の隊長が決めなければならない」

 それなら何も心配することはないだろう……。
 鹿次は、初めて戦車に乗ることへの不安が雲散霧消した様な気がした。
 戦車に乗りながら賞金ガッポガッポ。彼の未来は明るい……。



 戦車のメンテはほとんど3K労働だが、派遣でその3Kばかりやってきた鹿次には
別にどうということはなかった。建機の知識もあったことがさらに有利に働いた。
 日々の肉体強化も、ガチプロとちがって学校の体育実技が普通にこなせればついていける。
 おかげで、短期間ですっかりたくましくなってしまった。
 しかし、試合がなければファイトマネーがもらえない。
 鹿次は、デビュー戦を一日千秋の思いで待っていた。

 もともと資質があったのか、鹿次が練習生だった期間はわずか2週間だった。
 取締役会でも人気の「ホラー号」を試合に復帰させてはどうかと提案され、了承が得られた。



 そして、いよいよデビュー戦の日がやってきた。
 今日の会場はS県S市の中心にある「殺死阿夢コロシアム」というコロッセオだった。
 いま彼らは競馬場でいう「パドック」のような場所で観客に品定めされている。

 男子チームは梵野興業所属のホラー号含めて定数の5両。
 もっとも強いのはイージーエイトのホラー号。あとはシャーマン短砲身。
 あえて低ティアのラム巡航戦車やT-50などの50mmクラスで出てきたつわものもいる。

「ティア5までは許されるのに、なんでわざわざ弱いので出てくるんすかね?」

 わざわざ舐めプレイしなくてもいいだろうに。と鹿次は思う。

「ああ、知らなかったか。ティアを1つ下げるごとに、出場料と賞金が倍額になる。
 俺は勝つこと優先だから下げない。それでも年間賞金王だ。俺たちはな」

 車長からそういわれた鹿次は、ますます根拠のない自信に満ちあふれるのだった。
 まあ、今回はそれでもいいだろう……。



 女子チームはといえば。
 選手どもは女子プロと比べるまでもなく華奢な鍛錬不足がはっきりわかる体付きで、さっきまでキャピキャピ騒がしかったのが、ホラー号の怪物車長を見たとたんびびったようだ。
 戦車は、せっかくティア制限がないというのに重戦車はスターリン3が1両だけ。
 あとは、クルセイダー4両、マチルダUが3両、M5軽戦車2両という編成。

「車長、ティア制限がないのに、なんであんな情けない編成なんすかね
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