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笑顔の戦士と絶望に抗う戦士
9話
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を変えたところで自分達の世界で死んでいった人達の事が無かったことにならないことも理解している。
それでも、「もし、お父さん(孫くん)が生きていたら」と、人造人間が現れてから6年。何度そんな事を思っただろうか?
肉体的に強いという事ももちろんあるが、それ以上に彼ならどんな絶望的な状況でも必ずなんとかしてくれる。
そう思わせてくれる。仲間の精神的な主柱になってくれる人だった。
お父さんさえ生きていれば、人造人間を倒す手段を見つけられるはずだと悟飯は確信している。
自分達の世界のように地獄の様な世界ではなく、平和な世界を取り戻せると信じている。

だが、過去に行くのは何年?いや、何十年後の話になる?
いくらブルマが天才だと言っても、タイムマシンを造るのにどれだけの歳月がかかる?
その間、人造人間達の手によって一体何人の人達が犠牲になる?
はっきり言って、完成するまで待っていられないのだ。
だから、もっと強くならなくてはならない。
自分がこうしている間にも、連中は地球の人達を殺して回っているかもしれないのだがら。

「…悟飯君?」
みゆきの声に反応して顔を向ければ、5人が心配そうにこちらを見つめていた。

「…えっと、ごめん…何?」

「何って言うか…」

「…怖い顔しとったで、悟飯」

「え!?そ、そうかな?ハハッ…」

「「「「「……はぁ」」」」」

「クル?」
悟飯の誤魔化し方を見て、5人全員がため息をついた。
悟飯という少年が嘘や誤魔化しが苦手であることは、この短い付き合いの中でも既に分かっていた。

絶対に何かある。それもあの表情から察するに重大な何かだ。

「…悟飯さん。タイムマシンを造って過去に行くにしろ、未来に行くにしろ、それは正史を曲げると言うこと……自分が歩んできた道を、歩む道を否定してしまうと言うことですよ?分かっているんですか?」
れいかが真剣な表情で問う質問に悟飯も真剣な表情で答える。

「ああ、分かってる…でも、それでも俺は…いや、俺達は……ん?」

「どうしたの?悟飯君?」
いきなり窓の方に視線を向けた悟飯を不思議そうに見るみゆき

「…何か来る……この感じ、キャンディーに似てる」

「え?」

「キャンディーに似てるクル?」

「…アレは…本、か?」
窓に近づき、外に視線を向ける悟飯は本が飛んで来るのが見えた。

「何かあるの?」

「何も見えへんやん」

「何かあるんですか?悟飯さん」

「そういえば、キャンディーも絵本の中から飛び出してきたんだよね」

「え!?と言う事は新しい妖精仲間かな!?」

「…お兄ちゃんかもしれないクル」

「「「「「お兄ちゃん!?」」」」」
キャンディーの発言に驚く5人


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