epilogue in 2314 ?
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俺の異動が決まったのは、対ELS地球圏防衛戦の直後だった。
地球連邦宇宙軍の70%がELSとの戦いで犠牲になった今、連邦軍の軍備力はかなり衰退している。MSパイロットの希少価値は上がり、主力量産機にはコアファイターの搭載が決まっているほどだ。
そんな中、俺の異動先は実働部隊ではなかった。地球連邦直轄の停戦監視団『第3方面第5監視分隊』。中央アジアの紛争地帯を渡り歩く集団の所属となった。
停戦監視団の役目はますます重要になっている。重要地点の巡察、敵対者間の交渉、特定の調査活動などは、戦いから人類を救う長期的活動だ。地道な作業が恒久和平の一途になる。
部隊が駐屯しているインド・ムンバイ基地に着いた俺は、第5分隊が使用する非武装の輸送艦に乗船した。
俺と同じくここに異動することになったのは3名で、全員がMSパイロット出身だった。
司令室で、俺たちはヒラリー・マクスウェル中佐と対面した。彼は元ユニオンの軍人で、長らく停戦監視団として活動してきた人物として知られている。
「君たちの乗船を歓迎する。だが、祝う時間はない。出動だ」
俺の隣にいるエド・マックス中尉が口を開く。
「我々は非武装の監視団です。MSパイロットの出る幕はあるのですか」
「通常はない。だが、こちらも人手不足でね。君たちには艦の操舵、点検、データの処理などをやってもらう」
デスクワークがメインだ。苦手というわけではないが、今までとは違う現場に緊張する。
俺が勤めることになったのは艦の操舵だった。管制室に行くと、操舵担当のチェン曹長が内容を教えてくれた。
「マニュアルもあります。こちらもご利用下さい」
「ありがとう。使わせてもらうよ」
操舵は初めてだが、仕組みは意外と凝っておらず、彼の説明とマニュアルでだいたい理解した。
輸送艦が浮かび、進行ルートに向けて行動を開始した。俺はその中で、今回の作戦を思い出す。
現場はイノベイター軍と旧人類軍の代理戦争が行われていた場所だ。X国はイノベイター軍の支援を、Y国は旧人類軍の支援を受けて戦いが繰り広げられている。先日、連邦軍の介入によって落ち着いたこの地で、我々は終戦への対話を図る。
予定では、両国に現地入りする交渉班が最初の出動となる。進路はまず、Y国だ。
輸送艦がY国領外れの丘陵地帯に入ったとき、艦のセンサーが反応する。オペレーターが声を張って報告した。
「Eセンサーに反応。前方の市街地で戦闘を確認しました!」
マクスウェル中佐がすぐに答える。
「両者の所属を識別するんだ。……まさか戦闘が再燃するとは。両国では1ヶ月近く戦闘はなかったんだぞ」
少ししてオペレーターが返答した。
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