暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第104話 魔王ジル
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 魔人側に アイゼル、サテラ、そしてそれぞれの使途達。

 人間側に ユーリ、リック、清十郎、トーマ、志津香、かなみ、フェリス、ミリ、クルック―、セル、ロゼ。

 一触即発。そんな空気だと言える……筈なのだが、人間側に比べ魔人側には殺気や威圧と言った臨戦態勢とは程遠いモノだった。その理由は決まっている。

 アイゼルが惜しいと言う。
 サテラに関しては 身を案じている様にも感じられる。

 それが理由だった。
 其々の使途も主の意向には従う所存……というより、サテラに関しては感情が感染ったとでもいうのだろうか、無表情のシーザーとイシス。いや 2人はガーディアンである為表情豊か、感情豊かとは言い難いと言うのに、そのトーマよりも大きな身体が項垂れている様にも見えるのだ。

 前衛で構えているユーリをはじめ、リック、清十郎、トーマも気を抜くような真似はしないがそれでも、攻めにくいのだろう。表情が普段よりも二割増しで硬くなってきている。

「(これは攻めにくそうだ……。だが、このままで良い筈もない。時間ももう無い。相手が戦う気が無くても、これじゃ足止めされてるのと同じだ。私が一度先制攻撃をするべき……だろうな。魔人の攻撃は確かにキツイが、それでも皆よりは頑丈に出来てる。日の光のない屋内だと言う事を含めて私が適任だ。いくか……)」

 死神の鎌を携え、音も無く移動をしようとするのは、フェリス。

 固い決意を露わにしていた人間達とは違い、殺気を、怒気を全てを殺し 気を伺っていたのだ。如何に戦意が無いとは言え圧倒的に不利なのは人間サイドだと言うのも間違いない。それもいつも通りの馬鹿正直に正面から突破せん勢いだった。

 幸いにもこの通路は大分広い。限りなく気配を殺し 翅を使って回り込む様にすれば背後を取る事も可能だろう。

「(………ここからはイチかバチか、になるがな。ここでユーリに……、こいつらに消耗させるよりは良い。本番はこの先にあるんだ。この先が 更に地獄なんだから)」

 フェリスは、意を決し 攻撃行動をしようとしたその時だ。




―― 怨 呪 逝 瞑 滅 冥 ――



―――― 死 ―――――



『ッッ!』



 恐らくは、全員が感じた(・・・)事だろう。
 この何もない通路だった筈なのに、途端に何かに覆われた。強い強い気配を感じた。

 そして、頭の中に過るのは『死』の感覚。絶対的な死がこの場に集った全員に覆いかぶさった。

 圧倒的な漆黒が場を支配し、心をまでも暗黒に染め上げていく。

「ぐ……、こ、これ……は……?」

 行動をしようと翅を動かそうとしていたフェリスだが、動けなかった。それどころか構えていた鎌をも下へ墜としてしまった。
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