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Raison d'etre
二章 ペンフィールドのホムンクルス
8話 長谷川京子(2)
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わなければ無理に付き合う必要ないんじゃない。気負いすぎだって」
「それはそうだけど……やっぱりこういうのは真剣に対応したいなぁと思うわけです、はい」
 優は上体を起こして、何となく枕を抱えた。
 その時、カシャリと変な音が響いた。
 一拍遅れてシャッター音だと気づく。
 いつの間にか京子が優に携帯を向けていた。
「いまって写真撮るような場面だっけ?」
「いや、何となく」
 そう言いながら、携帯をいじる京子。
「いいじゃん。減るもんじゃないんだから」
 気にするな、とばかりに片手をひらひらさせる京子を見て、優は呆れたようにため息をついた。
「……変なことに使わないならいいけど」
「それよりさ」
 京子が言う。
「優って年下が好きなわけ?」
「……年上とか年下とかって気にした事ないかなー」
「ふーん」
 じゃあ、と京子が言う。
「同年代の、例えば華とか愛はどうなの」
 突然出てきた友人の名に、優は動きを止めた。
 思わず京子を見ると、彼女は悪戯っぽく笑った。
「なに本気にしてんの」
 それから立ち上がって背伸びする。
「あー。もうこんな時間か。帰って寝よっと」
「あ、うん。おやすみ」
 玄関に向かう京子に声をかけると、彼女はひらひらと左手を振って、それから最後に振り向いた。
「ま、初デート頑張りなよ。後で残念会開いてあげるからさ。おやすみ」
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