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天国と地獄<中世ヨーロッパパロディー>
4 語学はとても難しい。

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 オレから去っていった零杏を見つめていると、不意に後ろに気配を感じた。

_「万斉、見てたのか。」

_「チッ、バレてたでござるか。」

 と隣には万斉が立っていた。
 コイツも同じ、スリザリンの寮にいる。

 コイツの実家も、悪魔族だ。

_「バレバレだぜェ?もっとマシな隠れ方できねェのかよ。」

_「それより晋助、彼女はグリフィンドールの者ではないでござるか?」

_「あァ。そうだが?」

_「彼女は、例の双子なのでござるか?」

_「さァな。詳しくは麗奈に聞けや。」

_「ではなぜ、彼女がグリフィンドールなのだ?
  彼女の血統ならば、由緒正しくスリザリンに入るはずだったでござる。」

_「さァな。寮の決定権は組み分け帽子様にすべてを委ねられてんだぜェ?
  いくらオレでも対処しきれねェよ。」

_「だが、麗奈さまは零杏殿を探しておられる。零杏(かのじょ)の能力が開花する前に、早く連れてこい、との仰せでござる。」

_「双子の片割れ、ねェ…。いくら零杏と双子であれ、麗奈は零杏の妹だ。
  このままだと麗奈が王にならァな。しかも今の状況は、悪魔族側が強い。そう焦らずとも、
  しばらくはどう、ってこともねェだろうよ。」

_「だが、零杏殿はあの通り、全てに秀でているでござる。文武両道、と言ったところか。
  彼女が白の騎士団に入れば、もうこちらに勝ち目はないでござる。」

_「その時は、誘拐でもなんでもしてやらァ。ただし零杏は、嫁にもらうがな。」

_「だが晋助には、麗奈殿の実家から縁談が来ているでござろう?
  なぜ、そこまで零杏殿に執着するでござるか?」

_「なぜだろうなァ。オレにも分からねェ。本能で求めてんじゃねェのか?
  オイ万斉。もう時間だ。急がねェと遅刻しちまう。」

 二人は次の教室に向かった。

***


 ついに来た、ラテン語の時間。
 言われていた宿題は全部こなしてきたが、やはり難しい。

 となりに座っている神楽ちゃんと顔を見合わせて、愚痴を言い合う。

_「ったく。ラテン語の宿題は、いつも多すぎるネ。
  私なんか、いつも終わんないヨ。」

_「私だって、昨日の時間、どんだけこれに費やしたか、知れたもんじゃないわ。
  ただでさえ、クディッチが忙しいのに。」

_「そうアル。それでもなんとか終わらせてる零杏はいったい、何者アルか?」

_「なんだろね、私にも分かんない。」

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