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ライヒスタークに赤旗を@〜伊吹萃香の憂鬱
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り出してレミリアングラードで大暴れした模様。

「伊吹元帥」

 こちらを呼ぶ声に振り向くと、表情の乏しいメイド服姿の少女がいた。十六夜咲夜参謀総長、GRUの萃香に次ぐナンバーツーである。
 相変わらずこちらを見る目は冷たい。レミリア至上主義者である彼女にとって、何かとレミリアに勝負を挑み、忠誠を誓っているわけでもない萃香は危険人物なのだ。おそらくフランドールの意向も働いているのだろう。
 

 ゆえに、萃香の地位は決して安泰でも盤石でもない。その彼女がトップに居続けているのは、その実力と人望と、何よりレミリア本人の希望によるところが大きい。なお、萃香本人の希望は無視された模様。

「作戦会議を始める時間です」

「うん? もうそんな時間かい。あたしゃ、そのまま突っ込めばいいだけだと思うけどさ」

「そのような稚拙な作戦で同志を死地に送り込むつもりですか?」

「いやいや、オーデル・ナイセのように小手先の技を使って大やけどしたくないさね」

 両者の間に険悪な空気が漂う。オーデル・ナイセ河を巡る大攻勢で、萃香の師団は初戦で苦しんだ。サーチライトを使って目くらましをするという作戦だったのだが、霧の中に自軍を浮かび上がらせる結果となってしまい大損害を受けたのだ。
 この作戦を立案したのが十六夜咲夜と彼女の子飼いの気鋭の将軍ジューコフである。


 奇をてらった作戦に最後まで反対していた萃香は――結果的に正しかったとはいえ――咲野とジューコフに睨まれることになる。萃香が力業でゼーロウ高地を奪還したものの、それが気に食わないらしい。


「人類統合体のハインリツィやシュルナーは名将だった。戦力はこっちが上なんだから正面切った戦いを挑めばいいんだよ」


 馬鹿馬鹿しいと萃香は思うが、ソ連軍は巨大なだけにいくつもの派閥に分かれている。


 その一つが萃香の派閥なのだが、彼女にそのような意図はない。萃香を慕う将兵が集まっただけで、舎弟関係と言えば近いだろうか。面倒見のいい萃香は、強く拒むこともできず静観するにとどめていた。
 ちらりと後ろを見ると、萃香派に近いチュイコフが物凄い顔をして咲夜たちを睨みつけている。ちなみに、チュイコフは花妖怪の派閥でレミリアングラードで大暴れしたこともある。

「ベルリンに一番乗りするのはあなたたちではありません!」

 萃香はどうでもいいのだが、チュイコフは何が何でも咲夜たちを抑えてベルリン一番乗りを果たしたいらしい。

「こりゃ先が思いやられるな……あたしの勘だけどエルベ川あたりが怪しんじゃない? 進軍を緩めて偵察を出して」

 不満そうにこちらをみる咲夜をみて、もう一度ため息をつく。合理的に考える咲夜と勘で行動する萃香はそりが合わない。それにも関わらず組
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